第93回東京箱根間往復大学駅伝競走(来年1月2、3日)の区間エントリーが29日に発表され、「3連覇&大学駅伝3冠」を目指す青学大の原晋監督(49)が、いつもの陽気で前向きなコメントではなく、現実的で慎重な発言に終始した。

 ダーク系のセーターに、黒の皮のジャケットでマフラー姿と服装はきめていたが、出てくる言葉はどこか弱気だった。取材の冒頭は「区割りが決まらない」とし、好調な選手が多くてうれしい悲鳴と切り出したが、徐々に本音が出てきた。5区は3年の貞永を起用するが「(他大学に)山の神が出て来たら白旗です。(1時間)10分を切る時は、それが箱根と割り切るしかない」と、神野が抜けた穴の大きさを実感している様子。東海大、早大、駒大の動向に注意を払いながら「東海さん、早稲田さんに2分以上あけて5区に入れれば、貞永もプレッシャーなく走れると思う」と、具体的なレースプランを披露。

 そのために2区一色でリードを奪い、3、4区でリードを保ちたい本音をのぞかせた。その上で「今年の青学のキーマンは秋山」とし、3区の秋山(4年)に大きな期待を寄せた。それだけ他校との力が拮抗(きっこう)していると認識している様子で、「1分~2分以内に4チーム入るのでは」と、往路のレース展開でライバル校の存在を何度も口にした。

 「いろいろあるんですよ。言えませんが」と、途中からは故障者の存在を明かし、苦戦していることを認めた。「1、2枚、いや2~3枚です。去年の楽勝ムードはない。8~10区で大逆転でサンキュー大作戦成功となるか、アイムソーリーとなるか」と、復路勝負になる見通しを示した。一色(4年)と田村、下田の3年生は絶好調としながらも、今年は余裕はない。「サンキュー指数は?」という普段なら原監督が大喜びしそうな質問にも「う~ん、指数はあまり高くないですね、アイムソーリー」と、言って報道陣を笑わせた。

 青学大はここ2年は圧倒的な強さで箱根を連覇し、今季は大学駅伝3冠まで射程圏内にとらえる優勝の大本命だ。明るいチームキャラクターと、原監督のキャッチフレーズなどで、箱根駅伝に新風を送り込んできた。3連覇を狙う青学大に、常勝軍団になれるかどうかの試練が訪れようとしている。