陸上のダイヤモンドリーグ第12戦バーミンガム・グランプリが20日、英国中西部の工業都市バーミンガムで行われる。ダイヤモンドリーグはロンドン世界陸上をはさんだため約1カ月ぶりの開催で、今大会が終盤3大会の初戦となる。11人の世界陸上金メダリストが登場し、男子砲丸投げと女子の棒高跳び、三段跳び、円盤投げの4種目でメダリスト全員が顔をそろえる。

 最も豪華なメンバーとなったのは男子砲丸投げだ。

 ロンドン世界陸上のトム・ウォルシュ(25=ニュージーランド)、リオ五輪のライアン・クルーザー(24=米国)、15年北京世界陸上のジョー・コバクス(28=米国)、13年モスクワ世界陸上のデビッド・シュトアル(27=ドイツ)と、最近5年間の金メダリスト4人全員がそろった。

 ウォルシュのロンドン世界陸上優勝記録は22メートル03だったが、クルーザーの3投目は22メートルラインを明らかに超えていた。ところが回転中の脚が、サークルの淵の板に乗ったと判定されてファウルに。クルーザー本人がその場で抗議して距離の計測はされたが、後に米国チームが正式に抗議しても判定は覆らなかった。

 リベンジマッチに燃えるクルーザーは、今年6月には22メートル65の現役選手最高記録(世界歴代7位)を投げている。他の3人も自己記録は22メートル20以上。世界陸上は全般的に涼しく記録が出にくいコンディションだったが、気温が上がって湿度が下がれば記録は上がる。22メートル67の21世紀世界最高記録の更新もありそうだ。

 女子棒高跳びも記録的な期待が大きい。

 ロンドン世界陸上はエカテリーニ・ステファニディ(27=ギリシャ)がリオ五輪に続いて金メダルを獲得し、5メートル00の世界歴代2位を持つサンディ・モリス(25=米国)は2年続いて銀メダル。大試合で力を発揮できない傾向があるモリスは、ロンドンでも4メートル75にとどまった。

 だが、涼しい気候のなか4メートル91の自己新(世界歴代4位)を跳んだステファニディを評価すべきだろう。モリスもコンディションが良ければ記録を伸ばしてくる。2人が競り合ってバーを上げていけば、5メートル06の世界記録に挑戦できるのではないか。

 ◆ダイヤモンドリーグ IAAF(国際陸上競技連盟)が主催する単日、または2日間開催では最高カテゴリーの競技会シリーズ。2010年に発足し、昨年までは年間総合ポイントで各種目のツアーチャンピオンを決定していたが、今年はファイナル大会出場者を決めるクオリファイリング大会として12大会が実施され、16種目ずつを行うファイナル2大会の優勝者がダイヤモンドリーグ・チャンピオンとなる。

 各クオリファイリング大会の種目別賞金は3万ドル(1位1万ドル~8位1000ドル)で、各種目は年間4または6大会で実施される。各大会のポイント(1位8点~8位1点)合計上位8人(種目によっては12人)がファイナル大会に進出。ファイナル大会の種目別賞金は10万ドル(1位5万ドル~8位2000ドル)で、年間優勝者には賞金5万ドルのほかダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。

 出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝で行われるため、緊張感あるレースがスピーディーに続く。また、オリンピックや世界陸上のように1種目3人という国毎の出場人数制限がないため、ジャマイカ、アメリカ勢がそろう短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目など、五輪&世界陸上よりレベルが高くなるケースもある。