陸上の100メートルで日本人初の9秒台をマークした桐生祥秀(21=東洋大)は来春から日本生命との所属契約が決まった。

 13日、都内で発表会見に出席した桐生は「9秒を出して陸上人生が終わりではないし、2020年東京五輪など世界の舞台でファイナリストとして戦えるようにこれからも頑張っていく」と語った。

 同社は強豪の野球部や女子卓球部はあるものの、陸上競技部はない。日本で初めて「10秒の壁」を破った男は、既存の枠にとらわれない選択に踏み切った。練習は変わらず、東洋大を拠点としていく。富士通などの実業団や日本生命以外にも、陸上部がない企業と交渉していたが、最終的に日本生命と所属契約による合意に至った。「世界で戦える桐生になります」と力強く宣言した。

 13年の京都・洛南高3年時に10秒01を出してから日本陸上界を牽引してきた桐生は今夏の世界選手権は個人種目での出場を逃したが、9月9日の日本学生陸上対校選手権男子100メートル決勝で9秒98の日本新記録を樹立。自己記録を100分の3秒更新し、日本陸上界の悲願を達成した。

 20年東京五輪では男子100メートルでの決勝進出が目標。「ジェット桐生」が日本屈指の大企業からのサポートを受け、さらなる高みを目指す。