男子マラソン元日本代表で宮崎大特別教授の谷口浩美氏(58)が17日、JR博多駅前の広場で、NHK大河ドラマ「いだてん」のモデル金栗四三をテーマとした熊本県PRイベントのトークショーゲストとして出演した。

メダルを期待されていた92年バルセロナ五輪で転倒し、レース後にさわやかな表情で口にした「こけちゃいました」が今も語り継がれている同氏。

この日も「転んだから、ここにいるんです」と言い切って笑いを呼び、自身の人生を大きく変えた転倒時の状況について振り返った。

「右手で給水ボトルを取りにいったときに左足が(踏まれて)上がらないわけですよ。足だけが抜けて靴が残って。そのあと、はだしで走るか靴を取りに戻るか考えたんですが、バルセロナの路面は結構固いんですね。僕は面の皮は厚いんですが(笑い)、足の裏はそうでもない。このまま走るのはきついぞと。靴を取りに戻ったら、履いて下さいという感じで上向きで残っていた。僕は夏はソックスを履かず、はだしで靴を履いていたんです。だから、ひもをほどかなくてもスッと履けた」。

その後は粘り強く走り続け8位入賞。ゴール後に残したコメントで日本中から注目を集めた。

「僕がこけた映像を、皆さんが見ているということをを知らないわけですよ。だから『こけちゃいました』と説明して謝ったつもりだったんです。帰国したら取材陣がものすごくて、びっくりしました」

また、金栗が履いていた足袋のメーカー「ハリマヤ」について「実は僕も高校時代からハリマヤのシューズを履いていたんですよ」と金栗との意外な共通点を明かすなど会場を盛り上げた。