開幕戦は、シーズン序盤ということもあり8種目で今季世界最高が誕生した。なかでも男子円盤投げは、ダニエル・ストール(26=スウェーデン)が70メートル56のダイヤモンドリーグ最高記録の圧勝だった。

また、国際陸上競技連盟(IAAF)の女子選手のテストステロン値を制限する新規則への異議申し立てが棄却されたキャスター・セメンヤ(28=南アフリカ)が、効力が発効する5月8日以前に行われた今大会に電撃的に出場。女子800メートルで1分54秒98の今季世界最高をマークし、2位に20メートル近い大差をつけた。

男子棒高跳びに出場した山本聖途(27=トヨタ自動車)は5メートル61で3位。自身のダイヤモンドリーグでの過去最高順位と健闘した。

男子円盤投げはストールが2回目に70メートル49をマーク。2010年に発足したダイヤモンドリーグで初めて70メートルラインを越えた。3回目に70メートル56と記録を伸ばし、2位に3メートル66の大差をつけた。

「自分にはパワーがあるし、テクニックも研ぎ続けて来た。トレーニングも順調だったので自分に期待していたけど、今日の結果は本当にうれしいね」

身長200センチ、体重145キロの巨体を高速でターンさせられることがストールの武器だが、五輪&世界陸上では17年ロンドン世界陸上の銀メダルが最高成績。

「(9月開幕の)世界陸上でドーハに戻ってきて、また勝ちたいね」

次は世界一のタイトルに照準を合わせている。

女子の2種目で専門種目が異なる選手が対決した。

走り幅跳びではこの種目のリオ五輪金メダルのティアナ・バルトレッタ(33=米国)と、3段跳びリオ・オリンピック(五輪)金メダルのカテリン・イバルゲン(35=コロンビア)のベテラン同士が対決。イバルゲンが6メートル76で優勝した。

イバルゲンは3段跳びで五輪&世界陸上の金メダル3個獲得の実績を持つ。今大会はバルトレッタが失敗(5メートル92の9位)したためガチンコ対決にはならなかったが、イバルゲンは昨年6メートル93と6年ぶりに走り幅跳びの自己記録を更新し、ダイヤモンドリーグ・チャンピオンにもなった。

今秋のドーハ世界陸上で2種目を狙ってくるのか、どちらかの種目に絞ってくるのか。ダイヤモンドリーグを戦いながら判断していく。

女子3000メートルは五輪&世界陸上では実施されない種目だが、5000メートルの17年世界陸上金メダルのヘレン・オビリ(29=ケニア)と、1500メートル世界記録保持者のゲンゼベ・ディババ(28=エチオピア)が対決。2人がラスト200メートルから後続を引き離したが、フィニッシュではオビリが0.60秒差で競り勝った。

「勝ててうれしいわ。最後の1周は本当にタフでしたから。秋の世界陸上に向けてトップコンディションを作っていきたい」とオビリ。

注目されるのはディババの種目選択だ。過去2回の世界陸上では1500メートルと5000メートルの2種目に出場し、15年は1500メートルの金メダルと5000メートルの銅メダルを取っている。

イバルゲンと同様、ダイヤモンドリーグを戦いながら世界陸上の出場種目を決めていく。

◆今季の男子円盤投げ

今季世界リストでは70メートル56のストールが、リスト2位のオラ・ステュネ・イセネ(24=ノルウェー)を2メートル78も引き離しているが、シーズンは始まったばかりなので今季を占う材料にはならない。

昨年も69メートル72のストールが世界リスト1位だったが、2位のフェデリック・デイカーズ(25=ジャマイカ)、3位のアンドリウス・グドジュス(28=リトアニア)の3人が69メートル台と接近していた。

17年世界陸上はグドジュスが金メダルでストールが銀メダル。2人の差はわずか2センチだった。今季もグドジュスとストールの対決が注目される。