フルマラソン100回を達成したプロランナー川内優輝(32=あいおいニッセイ同和損保)は、自己ベストにほど遠い2時間14分17秒の7位で惨敗した。3連覇も逃した。

険しい表情ゴール後、両手を膝について悔しがった。直後にレースの感想を問われ、「情けない結果で、本当に申し訳ない。コンディションは悪くなかったが、何でこんなに走れないのか、自分でも恥ずかしい」とうなだれた。

節目のスタート前、両ほおを両手でたたき気合を注入した。だが序盤から先頭集団で展開も、代名詞と言える執念の粘りが見られず20キロ過ぎに脱落。早々に眉間にしわを寄せ口も開き、最後まで苦しんだ。

陸上歴は26年になる。砂原小1年で陸上を始めた。鷲宮中、春日部東高、学習院大でも続け、箱根駅伝では関東学生選抜6区として2度出場した。09年埼玉県庁に就職後も勤務の傍ら“公務員ランナー”として競技を続け、19年3月末に同庁を退職してプロランナーに転身した。

09年2月の大分・別府大分毎日でフルマラソンデビュー。自己ベストは、13年ソウル国際の2時間8分14秒だ。これまでサブ10(2時間10分以内)の世界最短間隔記録(中13日)や日本人最多記録(13回)などを樹立。78回目がギネス世界記録と認定されたが単なる通過点と位置づけ、100回目を目指してきたという。今大会前、豊富な経験を武器に「百戦錬磨の駆け引きを見せたい」と気合十分だった。

だが万全だったわけではない。12月1日、99回目となった福岡国際マラソンは、スピード不足で2時間12分50秒。不本意な12位に終わった。4度目で過去最低29位に沈んだ今秋の世界選手権から「粘る練習で距離をいっぱい踏んだことで、スピードに余裕がなくなった。10~11月までスピードを追い込んだが、これまでしか行けなかった」と修正できなかった。

それでも「今季不調の中、シーズンセカンドベストが出せたので、2週間後の防府にはピタッと合って来ると思う」と前向きで、防府読売マラソンへ「シーズンベストを出せるぐらいの走りをしたい」と、3連覇も見すえ意気込んでいた。

今後は、練習量や練習方法でさらに工夫を加え、課題のスピードに対応できるレース展開を目指し取り組んでいく予定で、5度目となる21年の世界選手権(米オレゴン州ユージーン)出場を目指す予定。併せて全国各地のマラソンを通じた地域貢献活動にも取り組む。【菊川光一】