駒大3冠へ万全ー。日本陸連マラソン強化戦略プロジェクトリーダーの瀬古利彦副会長(66)が、今年も2、3日に行われる箱根駅伝を占った。エース田沢廉(4年)擁する駒大が、選手層の厚さから大本命と予想。メンタルさえ崩れなければ、出雲、全日本に続いて独走での優勝も可能とした。対抗は国学院大と青学大。100回大会を前にして、新時代のランナーが飛び出すことも期待した。

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今回は駒大が頭1つ抜けている。出雲と全日本をともに新記録で優勝し、スキがない。箱根は両大会と比べて距離も伸びて区間も増えるが、長い距離に強い選手がそろう駒大にとっては、マイナスではない。

何よりもエース田沢の存在が大きい。スピードが圧倒的だし、安定している。田沢以外も層が厚い。仮に2区田沢のところで2位以下を引き離せれば、そのまま独走優勝となる可能性は大きい。それほど、他校との実力差があると思う。

不安があるとすれば、精神面。2大会と比べて箱根の注目度は高い。「3冠」へのプレッシャーもあるはずだ。確実に勝てる力はあるが、普通に走れなくなれば波乱もありうる。注目されるがゆえに力が入り、前半飛ばし過ぎて後半失速するパターンも。優勝を逃すとすれば自滅だろう。

大本命を追うのは出雲、全日本で2位に入った国学院大。田沢のような絶対的エースはいないが、選手層は駒大にも負けない。青学大は2大会でミスがあったものの、箱根に合わせるのはうまい。駒大の出来次第で連覇の可能性はある。

3強に続くのは、吉居兄弟が引っ張る中大。下級生が多いだけに、勢いに乗れば一気に上位もある。三浦が引っ張る順大、ムルワの創価大も楽しみ。ヴィンセントらの東京国際大も序盤を沸かす可能性がある。

上野監督が率いる立大にも注目している。指導というよりも一緒に走る背中を見せながら選手を育てるスタイル。彼にしかできないが、新しい指導法として成果が楽しみだ。

レースはスタートから激しくなる。「3冠阻止」を狙う有力校は駒大の独走を許さないだろう。1区で貯金を作り、田沢に離されないようについていけば、プレッシャーをかけ続けることができる。駒大が本来の走りを見失えば、走ってみないと分からない5区あたりで順位が入れ替わる可能性もある。流れに乗るために1区と2区が重要だ。

大会も99回目を迎えて、指導者や選手の意識も変わってきた。少し前は「箱根がゴール」の風潮もあったが「箱根から世界へ」が増えてきた。田沢や三浦などすでに世界で活躍する選手もいる。駅伝ファンには、箱根の先に世界を見ながら応援していただきたい。(おわり)

<展望>ポイントは当日変更

補欠登録選手の活用が勝負の行方を左右する。青学大は岸本、中村、太田を、駒大も篠原、佐藤、山川らを隠した。往路優勝が総合優勝への近道だけに前半戦から2枚替えの展開もありそうだ。上位をうかがう順大は野村、三浦を、国学院大は中西、平林、青木を、中大はエースの吉居大を他校と比較した上で配置しそう。東京国際大はエースのヴィンセントを外しており、交代するなら4区の留学生ムセンビか。なおレース当日の入れ替えは最大6人まで可能(1日最大人数は4人)。変更幅が前回大会から2人増えたことにより、各チームによる頭脳戦の様相も強まっている。

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