大和が田沢、近藤に勝った! 当日のエントリー変更で「花の2区」(23・1キロ、鶴見~戸塚)を走った中大・吉居大和(3年)が、昨年の1区に続き2年連続で区間賞を獲得した。

往路最長距離を歴代6位の1時間6分22秒。学生陸上界の雄、駒大・田沢には12秒差、青学大・近藤には2秒差をつけ、中大としては20年ぶりに2区を首位通過した。22年ぶりの往路優勝は逃したが、5時間23分40秒で堂々の2位。往路Vの駒大を30秒差で追い、逆転で総合優勝を狙う。

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中大のエースが驚異のラストスパートで、抜きつ抜かれつの「花の2区」を制した。23キロ手前。3位吉居大は2位の青学大・近藤をかわす。残り100メートル。さらにスピードを上げ、トップの駒大・田沢を一気に抜き去った。藤原正和監督(41)が2区で区間賞を獲得した03年以来、中大としては20年ぶりに首位で3区へのタスキリレーを決めた。指揮官から「よくやった」と声をかけられた吉居大は、両手でガッツポーズ。競り合った近藤とは、抱き合って健闘をたたえ合った。

「やっぱり田沢さんや近藤幸太郎くんだったりという大学トップレベルの人たちと走れる時間だったので、そこを満喫したいと。楽しい時間だった。せっかく楽しい時間だったので、離れるわけにはいかないと思って走りました」

2年だった昨年は1区を任され、15年ぶりに区間記録を更新。大会MVPにあたる金栗四三杯に輝き、華々しく1年が幕を開けた。だが、5000メートルで世界選手権(7月、米オレゴン)を目指すも、右足負傷により長期離脱。同大会の出場を断念した。今シーズンは昨シーズンに比べ、夏合宿などで十分な距離を走れず、不安を残した。それでも、昨年10月の出雲駅伝は1区区間賞。同11月の全日本大学駅伝はレース直前に帯状疱疹(ほうしん)を発症も強行出場し、6区で区間新を樹立した。

中大は来年の100回大会での総合優勝を掲げ、今大会は往路優勝、総合3位が目標だった。藤原監督は「吉居大和ぐらいの選手を5人つくり、往路に全部並べるようなことをしないと優勝には届かない」と戦力強化。「ゲームチェンジャーといえる選手を多く持った方が今の駅伝は勝ちに近づく」とし、吉居大に続く核として中野翔太(3年)や弟の吉居駿恭(1年)溜池一太(1年)らを鍛えて選手層を厚くし、一定の成果を残した。

往路では1区4位、2区区間賞、3区区間賞、4区5位、5区3位と全区間で5位以内と安定。指揮官は「(往路優勝に)届かなかったのは指導者の差。選手は想定内の走り」とたたえ、「チャンスはゼロじゃない」と言った。目標を前倒しし、1年早く総合優勝を成し遂げる。【山田愛斗】

○…吉居大の弟、駿恭が4区で上々の箱根デビューを飾った。兄弟でのタスキリレーはならずも、目標にしていた1時間2分を切る1時間1分49秒で区間5位。「もう少し粘っていれば(5区の)阿部さんが楽になり、優勝できたのでは」と悔しがった。兄大和の2区区間賞には「本当に感動しました。自分もああいう走りを目指したい」と話した。