連覇を狙った青山学院大は、3位発進となった往路から順位を押し上げることができず、総合3位となった。

過去8大会で6度の総合優勝に導いた青山学院大(青学大)の原晋監督(55)は「人生いろいろ、箱根もいろいろ。いろんなことが起こります」と、ほろ苦い表情で振り返った。

主な一問一答は以下の通り。

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「(報道陣が問いかける前に自ら切り出し)人生いろいろ、箱根もいろいろ。いろんなことが起こりますよ。だから学生スポーツは面白いんですよ」

「(少し間を置いて)もはやチーム内で1万メートル28分台が10人なんて当たり前、登録メンバー16人なんて当たり前。その中でも27分台を往路2人、復路1人、確実に置けるチームでないと優勝できない。さらに山登り、山下り対策を1年かけてトレーニングしないといけない。何となく登りや下りが得意というだけでは勝負ができない」

「(さらに続けて)自ら律する『自律』のチームをつくらないといけない。ある意味で、それが過渡期の大会でもあった。ここで元のようなパワー型の指導スタイルに傾斜させることだけはしたくない。やはり学生スポーツは、自ら考え、行動することが本来のスタイルだと思う」

「(作戦についても自ら言及し)ピース大作戦は、山登りと山下りの2つのピースがハマりませんでした。残念でした。次はワンピースになれるように頑張っていこうと思います」

-前日の体調不良者が出たことの影響はあったか

「登りだけでなく、下りにも大きく響きました」

-6区出走を西川選手へ伝えたのはいつか

「前日の朝に伝えました。彼を選んだのは私ですから、彼だけを責めるのではなく、故障者が出ていた事実もあります」

-学生のメンタルの強さとナイーブさが混在していた大会に感じた

「みんなが律する『自律』を求めていくと、ある意味で大人が介在しなくなっていく。一歩距離を置いて、学生が自ら考え、行動することで、彼らはプレッシャーを感じることが多くなっていく。でもそれをすることによって、学生たちの本当の強さが出てくる。赤じゅうたんの上を生きていくということでは、挫折を跳ね返す力は生まれない」

「(続けて)4日前に近藤幸太郎が『外してください』というくらいのプレッシャーを感じていた。岸本も『往路は行けません』と。若林も『ちょっと難しいです』と言ってきました。そこで私が手取り足取り指導したほうが、プレッシャーから解放できるかもしれないが、それでは自分の力にならない。時間をかけて、チームとしてそういう空気感をつくっていくことによって、青山学院の学生が生きる力をつくっていきたいし、つくってほしい」

-駒大の大八木弘明監督が指導法を変えて結果を残した

「それはベースに厳しさという通底する土台、チームとして陸上に向き合う厳しさがあってのスタイル。厳しい君臨型だけでやっているだけでは勝てるようにはならない。そこから変革した大八木さんは立派だなと思います。あの歳で変わることはなかなか難しい。その中で変えられたことは、僕は立派な方だと思います」

-来年の100回大会は全国化する

「箱根駅伝文化をなくしていったら、徐々に若者が長距離を志さなくなる。極端なことを言えば、誰がこんなにキツい長距離をやるのか。日本は素晴らしい駅伝文化があるので、それを強固にしていくためには、100回大会に限らず、未来永劫(えいごう)で全国化すべきです。日本の駅伝文化は沿道の声援、大学ののぼり旗、応援団、そういった演出を含めての駅伝だと思う。だから、のぼり旗も復活させるべき。数年前に中止になった、監督車から降りて、手渡しで給水をおこなうシーン。そういった演出全てがファンを魅了する。全て規制、規制となると、日本の駅伝文化がなくなると思う」