21年東京オリンピック(五輪)7位入賞の三浦龍司(21=順大)が、8月の世界選手権(ブダペスト)代表の今大会“内定第1号”となった。

8分21秒41で3連覇を達成。すでに世界選手権の参加標準記録(8分15秒00)を切っており、3位以内に入ったことで2大会連続の代表に内定した。

今季は順大の駅伝チームで主将就任を志願。自らに重責を課した。2度目の世界選手権では初の入賞を狙う。

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雨が降りしきる状況にも、三浦は落ち着いていた。2周目で前へ出ると、力強い腕振りでぐんぐん差を広げた。2位に約5秒差をつけての圧勝。貫禄のV3で、世界選手権への出場権を手に入れた。

「連覇にこだわりはなかったが、継続できたことはうれしい。勝ちきることができたことは収穫」

余裕の表情を浮かべていた。

21年に東京五輪で7位入賞を収め、昨年7月には世界選手権の舞台へ。同9月に出場した最高峰のダイヤモンドリーグ(DL)ファイナルでは4位に入った。学生の枠にとどまらず、世界の第一線で勝負を続けている。

そんな中、大学4年となった今年は、自分自身に新たな重責を課した。

「最後にキーになるのはやっぱり4年生。自分も経験として必要かなと思った」

自ら志願し、藤原優希(4年)とともに、駅伝チームの「共同主将」に就いた。

3000メートル障害のトップ選手が駅伝を兼ねることに対し、海外勢からの「クレイジー」との声が聞こえてきた。それを承知の上で、主将への挑戦を決意した。

苦笑いで「僕は全然引っ張っていくタイプじゃない」と言う。ただ、何かをつかみたかった。

「その立場(主将の立場)にならないと、きっとスタートラインに立てないと思うので」

心がけたのは、自ら歩み寄ること。練習の合間や休憩時間に、話しかけることが増えた。

22年の全国高校総体で2冠を達成した大野聖登(1年)と寮の風呂で居合わせた時は「世界へ行くと考え方も違うよ」と経験談を伝えた。

大野は「知らないことを教えてくださって、自分も世界に行ってみたいと思った」と瞳を輝かせる。2年生の村尾雄己も「三浦さんが前に出ることで、相談する人が増えてきたように思う」と証言する。

今大会の中長距離種目には、順大からも5人がエントリーした。チームへの思いは「そんなに熱くないですけど」と前置きした上で「メンバーが走っていく姿は、少なからず(チーム)みんなに伝わる」と総括した。最上級生としての顔をのぞかせた。

確実に勝ち切り、手にした世界選手権。目標には「決勝に進出して上位入賞」を掲げる。その第1歩として、今月9日にはパリのDLで調整を進める。

「自分自身が喜べる走りをすれば、応援してくれる人にも伝わるはず」

次は大舞台で、堂々の走りを示す。世界へ挑んでいく姿を、チームメートへも届けていく。【藤塚大輔】