パリ・オリンピック(五輪)代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」(15日、東京・国立競技場発着)に出場する男子61選手、女子24選手が13日、東京都内で記者会見し、日本記録保持者の鈴木健吾(28=富士通)が初の五輪出場へ「強い思いは誰にも負けない」と意欲を示した。22年3月の東京以来、約1年7カ月ぶりにレースに臨む。股関節痛などを乗り越え、妻で東京五輪8位入賞の一山麻緒(資生堂)とともに五輪切符獲得を目指す。

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鈴木は人一倍の覚悟を胸に、約1年7カ月ぶりに42・195キロのスタートラインに立つ。「強い思いは誰にも負けないように走りたい」。日本最速ランナーは、挑戦者の立場を強調した。「日本記録保持者という感じはそこまでない。チャレンジングな戦い方が好きなので、チャレンジャーの気持ちで臨みたい」。飄々(ひょうひょう)とした口調に熱を込めた。

4年前。東京五輪の切符を懸けた19年のMGCは、7位で出場権を逃した。1年半後の21年2月に日本新記録(2時間4分56秒)を樹立したが、特例での繰り上げはなく、自国開催の五輪舞台は見守ることしかできなかった。「次こそはこの舞台で走りたい」。思いは強まったが、その後は苦難が待っていた。昨夏の世界選手権は直前まで好調を維持しながら、新型コロナウイルス陽性で現地入り後に棄権。今年3月の東京マラソンも股関節痛で欠場となった。

レースに出ることが出来ない日々。「息抜きをしていても罪悪感が常にあった」。ただ苦悩に満ちた間も、21年12月に結婚した妻の一山とは「パリに一緒に行きたいね」と言葉を交わしてきた。同じアスリート。その存在は「プラスになった」。6月下旬の函館ハーフマラソンで1年3カ月ぶりにレース復帰し、マラソン練習を開始。体調不良や故障が続いた期間を省み、慎重に準備を重ねてきた。「しっかり自分を見つめ直して生活してきた」。今は「走ってみないと分からない」と言うが「悪くはない」と前を向く。

決して順調な道のりではなかったが、2度目のMGCだけを見続けてきた。「次こそはという思いで、パリ五輪にこだわってやってきた。まずは2枠を狙っていきたい」。ようやく迎えた雪辱の舞台。4年の歳月を、走りに込めていく。【藤塚大輔】