安藤友香(29=ワコール)が2時間21分18秒(速報値)で優勝したが、1月の大阪国際女子で前田穂南(27=天満屋)が記録した日本記録(2時間18分59秒)には届かず、代表3枠目には前田が内定した。

日本陸連強化委員会の高岡寿成シニアディレクター(SD)がレースを総括。「最終的にはタイム(前田の日本記録)に届かなかったが、彼女たちはそのタイムを目指して1月から練習してきていた。そう考えるだけでも、日本女子のマラソン界が発展してきている」。今大会の日本勢は25キロ以降で先頭から離されかけたが、終盤で粘りを見せる場面もあり「最後は逆転して勝ち取るところに安藤さんの強さを感じました」と評価した。

同種目の代表枠は「3」で、すでに昨年10月のMGC1位の鈴木優花(24=第一生命グループ)、同2位の一山麻緒(26=資生堂)が内定済み。最後の3枠目を巡っては、大阪国際女子、名古屋ウィメンズの2大会において設定記録(2時間21分41秒)を突破した日本人最上位選手が内定する規定となっていた。

1月に前田が日本新記録を打ち立てたことで、一気に突破条件が高まったが、最終的には安藤と鈴木亜由子(32=JP日本郵政グループ)も当初の設定記録をクリア。「そういう意味では非常に良いレースになった。レベルが上がってきている」とうなずいた。

MGCによる選考は、東京五輪前に続いて2度目。日本陸連が対象大会や設定記録を定めるため、選手は指定された大会に合わせてコンディションを整え、着順とタイムの両面を追求する必要がある。高岡SDは「この仕組みがどうなのかはパリを見てからでないと評価できないが、結果を残せる仕組みだと思っている。今後は『やったほうがいい』という声が多く出るのでは」と現行の方式を支持。日本陸連でマラソン強化に携わる瀬古利彦氏も「現場からはこの方法が良いと聞いている。悪いシステムではないと思うので、アップデートしながらつくっていければ」と同調した。