陸上男子400メートル日本記録保持者の佐藤拳太郎(29)が22日、所属先である富士通の川崎工場で取材会に出席し、今夏のパリオリンピック(五輪)での決勝進出を目標に掲げた。

昨年8月の世界選手権では、予選で日本記録となる44秒77をマーク。高野進による従来の日本記録を0・01秒上回り、32年ぶりに日本新を樹立した。

ついに時計の針を動かしたが、「昨年の完成度は50%に満たない」と満足はしていない。オフは二頭筋からお尻にかけての背面を強化。「筋の体積が増えれば、その分だけ質力が出る」とパワーアップを図ってきた。

その先に見つめるのは、パリ五輪での躍動。個人種目での決勝進出に加え、「マイルリレー」と呼ばれる1600メートルリレーでのメダル獲得を目指す。

「個人種目では決勝進出が目標。(一方でリレーは)実際に走るのは1人あたり400メートルなので、リザーブを含めた全員が44秒台の記録を持っていなければ、メダル獲得はおろか、決勝には進めない」

400メートル種目の日本勢は、日本歴代3位の自己記録を持つ佐藤風雅(ミズノ)、同5位で4月から富士通に入社する中島佑気ジョセフ(東洋大)ら力のある選手がそろうが、個々のさらなる走力向上は不可欠。自身はアジア記録(43秒93)更新に照準を定める。

「日本のマイルチームはもっと強いと思っているが、それをまだ世界で示すことができていないと思う。そのポテンシャルを最大限に発揮し、パリ五輪の舞台に立ちたい」

4月上旬には200メートルの記録会に出場予定。強い決意を胸に、五輪シーズンへ向かう。