陸上のダイヤモンドリーグ第10戦のエルキューリス大会が19日、モナコで開催される。男子では棒高跳びのルノー・ラビレニ(26=フランス)と三段跳びのクリスチャン・テイラー(23=米国)、女子では走り高跳びのアンナ・チチェロワ(30=ロシア)と跳躍種目にロンドン五輪金メダリストが多く出場する。8月のモスクワ世界陸上までダイヤモンドリーグは残り2試合。本番前最後の試合となる選手も多く、その戦いぶりが注目される。

 男子棒高跳びはロンドン五輪のメダリスト全員がそろったが、金メダリストのラビレニの力が1つ抜けている。今月4日のローザンヌ大会は記録なしに終わったが、2日後のパリ大会では5メートル92の好記録で圧勝した。風向きなどの条件に恵まれれば6メートルの今季世界最高にバーを上げるだろう。

 男子三段跳びは三つ巴の激戦。17メートル98の世界歴代3位を持つテディー・タムゴー(24=フランス)がケガから復調。6月30日のバーミンガム大会では優勝したテイラーと好勝負を演じた。

 しかし、ローザンヌ大会では20歳のペドロ・ピカルド(キューバ)が17メートル58の好記録で、タムゴーとテイラーに勝ってしまった。21世紀初の18メートル台を目指す2人は連敗するわけにはいかない。

 女子走高跳びは今季2メートルを跳んでいる3人全員が出場する。パリ大会を2メートル01で制したチチェロワがV候補だが、今季世界最高は全米選手権で2メートル04をクリアしたブリギッタ・バーネット(22=米国)だ。故障から復帰してきた前女王のブランカ・ブラシッチ(29=クロアチア)も、192センチの長身を生かした跳躍が戻りつつある。

 ロンドン五輪5000メートル&10000メートルの男子長距離2冠のモー・ファラー(30=英国)は、今大会は1500メートルに出場する。得意のラストスパートが中距離でも通用するか。

 5000メートルには白人ナンバーワンのガレン・ラップ(27=米国)がエントリー。アフリカ勢と激しい戦いになりそうだ。また、佐藤悠基(26=日清食品グループ)も出場。13日のベルギーの試合では13分13秒60と日本記録に0・40秒と迫る好調ぶり(日本歴代3位)。疲れがなければ日本記録更新が期待できる。◆ダイヤモンドリーグはIAAF(国際陸上競技連盟)が主催する最高カテゴリーの競技会シリーズ。今季はドーハ大会を皮切りに9月のブリュッセル大会まで全14戦が開催される。各大会の種目別優勝賞金は1万ドル(2位6000ドル~8位1000ドル)。各大会のポイント合計で争われる年間優勝者には4万ドルとダイヤモンド入りトロフィーが贈呈される。出場者はトップ選手に厳選され、ほとんどの種目が予選なしの一発決勝。緊張感あるレースが次々に行われる。また、オリンピックや世界陸上のように1国3人という出場人数の制限がない。ジャマイカ、アメリカ勢が揃う短距離種目や、アフリカ勢が多数出場する中・長距離種目などは、オリンピックや世界陸上よりも激しい戦いになる。