<全日本実業団対抗展望>

 陸上の全日本実業団対抗が20日から22日までの3日間、埼玉県熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で行われる。8月のモスクワ世界陸上代表選手たちが多数出場し、レベルの高い戦いを繰り広げる。また、駅伝シーズンに向けて注目選手もチェックできる。

 モスクワ世界陸上で6位入賞した男子4×100メートルリレーで2走を務めた藤光謙司(27=ゼンリン)は100メートルと200メートル、3走で好走した高瀬慧(24=富士通)は200メートルにエントリーした。200メートル代表の小林雄一(24=NTN)も100メートルと200メートルに出場する。

 ショートスプリント2種目には北京五輪4×100メートルリレー銅メダリストの塚原直貴(28=富士通)と高平慎士(29=富士通)、ロンドン五輪代表だった江里口匡史(24=大阪ガス)も出場する。2年前のテグ世界陸上代表の川面聡大(24=ミズノ)も復調して絶好調。どちらの種目も選手層が厚く、誰が勝つかわからない面白さがある。

 400メートルでは実業団2年目の廣瀬英行(24=富士通)に勢いがある。モスクワ世界陸上では4×400メートルリレーの3走で44秒94と、400メートルの自己記録を1秒近く上回るラップで走った。6月の日本選手権では6位と敗れたが、7月のアジア選手権から調子が上がっている。第一人者の金丸祐三(26=大塚製薬)との対決が白熱しそうだ。

 女子では1万メートル競歩に大利久美(28=富士通)と渕瀬真寿美(27=大塚製薬)の2人のモスクワ世界陸上代表が出場する。ロンドン五輪前に“美人ウォーカー”と注目を集めた大利は、今大会を最後に競技から引退する。有終の美を飾れるか。

 渕瀬は2009年のベルリン世界陸上7位入賞者だが、その後の五輪&世界陸上では低迷が続いている。復活のきっかけをつかみたい。

 女子100メートル障害はモスクワ世界陸上代表の紫村仁美(22=佐賀陸協)と、ロンドン五輪代表だった木村文子(25=エディオン)が対決する。今年の日本選手権は紫村が13秒02の日本歴代2位で、木村を0・02秒差で破った。日本人初の12秒台を目指す“美人ハードラー”同士が火花を散らす。

 長距離ではモスクワ世界陸上マラソン5位の中本健太郎(31=安川電機)が1万メートル、1万メートル&5000メートルに出場した佐藤悠基(26=日清食品グループ)は5000メートルにエントリーした。

 早大4年時に北京五輪代表に出場した竹沢健介(26=住友電工)は5000メートルと1万メートルの2種目に出場予定。長い期間ケガに苦しめられたが、廃部となったエスビー食品から今年、住友電工に移籍した。心機一転のスタートとなる。

 女子長距離では昨年の全日本実業団女子駅伝2位と健闘したデンソー勢に注目したい。アンカーの6区で区間新をマークした石橋麻衣(24)は5000メートルに出場。興譲館高で新谷仁美(25=ユニバーサルエンターテインメント)の後輩だった高島由香(25)と、地方国立大の三重大出身という異色ランナーの水口侑子(28)は、今季1万メートルで好タイムを出している。

 対抗戦は男子棒高跳び日本記録保持者の沢野大地(33)ら、代表選手を多数擁する富士通が男女総合の連勝を「7」に伸ばしそうだ。