南アフリカの両足義足ランナー、オスカー・ピストリウス容疑者(26)がモデルの恋人女性(29)を射殺した疑いで訴追された事件で、恋人の妊娠報道が飛び出した。米ゴシップ誌「ナショナル・エンクワイアラー」が捜査関係者の情報として報じたもので、恋人のリーバ・スティンカンプさんが事件当日の今月14日、同容疑者の子供を妊娠していると同容疑者に報告。同容疑者が「オレの子供じゃない」と激高し、スティンカンプさんを殺した可能性が出てきたという。

 同容疑者は約3カ月前からスティンカンプさんと交際を開始した。友人のラグビー選手とスティンカンプさんの仲が良いことを不満に思っていたため、事件当日は口論になっていたとされる。スティンカンプさんは同容疑者の怒りを収めるため、妊娠を報告したが、逆に友人の子供を妊娠したのではないかと疑われた可能性があると、同誌は警察関係者の推測として報じている。

 スティンカンプさんの遺族は27日、妊娠報道を否定した。広報担当は「妊娠したら、まず母親に打ち明けていたはずだし、検視の結果でも妊娠はなかった。容疑者側から出た情報だと思う」と話した。

 22日に保釈された同容疑者は現在、南アフリカの親類宅に滞在中。26日夜にスティンカンプさんの追悼式を近親者だけで行ったという。同容疑者は事件後、スティンカンプさんを強盗と間違えて撃ったと主張している。世界的に知名度が高く、逃亡の可能性がないと判断され、保釈が認められていた。<恋人射殺事件経過>

 ◆2月14日

 ピストリウス容疑者が、スティンカンプさんを自宅で射殺した疑いで地元警察に逮捕された。女性を不審者と思い込んだと主張。

 ◆同15日

 首都プレトリアの裁判所に出廷し殺人容疑で訴追された。

 ◆同18日

 事件現場になった同容疑者の自宅から筋肉増強剤のステロイドが見つかったと、英紙が担当刑事の証言として報じた。

 ◆同19日

 同容疑者の保釈をめぐる審理が、裁判所で開かれた。検察側は、同容疑者が浴室内にいた女性に発砲したと述べ、事件は計画的殺人だったと主張。

 ◆同22日

 同容疑者の保釈をめぐる審理が再開、保釈が決まった。保釈金は100万ランド(約1000万円)。