<世界陸上>◇30日◇女子棒高跳び決勝◇韓国・大邱スタジアム

 エレーナ・イシンバエワ(29=ロシア)が再び失意を味わわされた。2大会ぶり3回目の優勝を狙ったが、4メートル65の記録にとどまり6位。28度目の世界記録更新も期待されたが、スタートの4メートル65を成功すると、4メートル75は1回目に失敗し、この高さの試技をパス。5人が残った4メートル80に挑んだが、2度とも失敗し敗退が決まった。

 優勝はファビアナ・ムレル(30=ブラジル)で4メートル85。銀メダルは4メートル80でマルティナ・スタルツ(29=ドイツ)で、スベトラーナ・フェオファノワ(31=ロシア)が銅メダルを獲得した。

 04年アテネ、08年北京を世界新記録で連覇。だが前回の09年ベルリン大会は4メートル75を失敗し、4メートル80も2回失敗と、よもやの「記録なし」の屈辱。「今が休みをとるタイミング」と、昨年年4月に「無期限」の休養宣言。そして今年2月の室内で復帰。屋外初戦は7月中旬で、7月のストックホルムDL(ダイヤモンドリーグ)で、ライバルを制し4メートル76で優勝していた。

 屋外復帰戦から約1カ月では試合勘は戻らなかったのか-。なじませるのに時間がかかるポールを硬軟で用意していたが「軟らかすぎた」という。硬度を試技ごとに変えたというが、逆に「最後は硬すぎた」とフィットしなかった。

 「100年たっても破られない記録を残したい」と話していた“元女王”に、大邱の空もほほ笑まなかった。それでもイシンバエワは「今、私が持っている力はすべて出した」とロンドン五輪に向けて前向きさを忘れなかった。