東京パラリンピックが24日に開幕する。日本代表は史上最多の255人が出場する。今回のパラリンピックについて、競泳代表としてオリンピック2大会出場の伊藤華英さんに聞いた。

東京2020パラリンピック結団式で決意表明に臨む車いすテニスの国枝(手前)。後方左から岩渕、谷、浦田
東京2020パラリンピック結団式で決意表明に臨む車いすテニスの国枝(手前)。後方左から岩渕、谷、浦田

-大会の楽しみ方は

 伊藤 メダルの数ばかり気にするのも違うと思いますが、「だれだれがメダルを取った」というニュースが流れると、大会を知る入り口にはなると思います。オリンピックと比べると知られていない競技もあるので、「こんな競技もあるんだ」という素直な驚きも含めて大会を楽しんでほしいですね。

-注目の競技は

 伊藤 日本が初めて出場する5人制サッカー(ブラインドサッカー)などはハイレベルな戦いが繰り広げられるはずです。見えないのにボール蹴れるの? と思われるかもしれませんが、一度見てみればその技術と激しさには驚くと思います。

-専門の競泳では

 伊藤 4大会連続出場の木村敬一選手は、アメリカで練習したりしてきたインターナショナルな選手。東海林大選手は100メートルバタフライの元世界記録保持者。身長185センチの山口尚秀選手は100メートル平泳ぎで何度も世界記録を出しています。400メートル自由形の小池さくら選手は20歳の新鋭。期待する選手はたくさんいます。

-同じアスリートとして感じることは

 伊藤 現役時代はパラ選手に刺激をもらってました。人と競う、タイムを目指すということは同じなんですが、なによりも「このスポーツを選んでいる」という志が感じられて、そこが刺激になりました。


木村敬一のバタフライの泳ぎ
木村敬一のバタフライの泳ぎ

-健常者と違う部分は

 伊藤 たとえば全盲クラスの木村選手などは、一度も人の泳ぎを見たことがないわけですよ。いわゆるお手本がない中で、自分なりのスタイルを考えて、自分の泳ぎをつくりだしている。オリジナルなんです。これはすごいことだと思います。

-オリンピックに続きほぼ無観客だが

 伊藤 テレビ観戦になるかもしれませんが、ぜひ子どもたちに見てほしいですね。いろいろな障害を持った人たちがいるということを認識してほしい。それは若い方がいい。多様性のある社会をつくっていくための財産にしてもらえれば。

-東京で開催する意義は

 伊藤 日本はまだ障害者に対する社会の取り組みが足りないと思う。このパラリンピックがユニバーサルデザインなど、さまざまなことを考える良いきっかけになればいいですね。