支えてくれる地域の人と一緒に巻き返す! バスケットボールBリーグB1の三遠ネオフェニックスは、4年目の19-20年シーズン5勝36敗で中地区最下位に終わった。開幕から連敗が続き、不本意なシーズンとなったが、1月に特別指定選手として河村勇輝(18)が加入し、後半は流れをつかみかけていた。新型コロナウイルスによりリーグ打ち切りとなったが、鹿毛誠一郎GM(45)が日刊スポーツの取材に応じ、20-21年シーズンへ向けた意気込みなどを語った。

鹿毛GMはシーズンを振り返り「苦しかったが、今年に入ってようやく勝ち星が増えてきて、これからという時だったので残念」と明かした。河内新監督を迎えスタートしたが昨年10月の開幕から16連敗。初勝利までに2カ月もかかった。「けが人が出て、他の選手の負担が増え、チーム作りができなかった」。

立て直しを図る中、1月に、特別指定選手として当時高校生だった河村の加入が決まった。4月から東海大進学が決まっており、約2カ月の契約だったが「すごい選手だと知っていた。少しでも明るい材料を」と決断。「高校生だからよく練習していた。出られなくなる選手もいたが、チームに火が付いて、エネルギーになった」とスーパー高校生の加入を喜んだ。

チームの士気は上がり、勝てる試合が増えてきたが、3月中旬でリーグは終了した。最後の3試合は2勝1敗。手応えをつかみ始めていた。鹿毛GMは「いい形だったので残念。チームは明るくなったし、その後ホームの試合も多かったので乗っていけると思っていた」と悔やんだ。

負けられない思いは、応援してくれる地域のためでもある。愛知・豊橋市を拠点とする三遠は、普段から地元に根付いた活動をしてきた。チーム関係者は、リーグ中止が決まった際も「チームの事より、地域の方やスポンサー企業の経営の方が大変。自分たちに何かできることはないかと」と話し合いを重ね、地元企業や市などの協力を得て、今月から「東三河食べ支えプロジェクト@豊橋」を立ち上げた。テークアウトやデリバリーをする地域の飲食店をクラブのSNSで紹介し、約5万5000人のフォロワーに向け発信。加入している飲食店は2週間で約90店舗にまで増えた。

もちろん、太田、西川、鈴木ら選手も利用し、自らのSNSなどでアップすることで盛り上げる。太田は「プロスポーツクラブとして、いつも支えていただいている地元のみなさんを少しでも元気にできればと。自分も家族とお店を使ってSNSでシェアしたいと思う」と積極的に活動する。鹿毛GMも「普段から活力のある地域にしようと選手とも話している。試合をやっている時期だし、二つ返事でやってくれている」と話した。

チームは16-17年シーズン以降、チャンピオンシップ出場を逃している。現在は自宅などでの練習のみだが、再開後はこれまでできていなかった基礎体力の強化に取り組む。鹿毛GMは「今まではバスケットの技術ばかりにこだわっていた。走り込むなどスタミナをつけて開幕から勢いに乗りたい」と意気込んだ。20-21年シーズン、今度は勝利を届けることで、地元の街を盛り上げる。【松熊洋介】(ニッカンスポーツ・コム/スポーツコラム「We Love Sports」)