第85回箱根駅伝は2日、午前8時に往路の号砲が鳴らされる。16年ぶりの総合優勝を狙う早大のエース竹沢健介(4年)は、3区に登場する。過去、早大が総合優勝した時は大黒柱が好走し、「大砲」としての役割を担ってきた。学生の長距離ランナーとして44年ぶりの五輪出場を果たした実力を示すことが、早大完全復活のカギになる。

 竹沢にとって、最後の箱根がやってくる。迷いはない。「早稲田のユニホームをみて走りたいと思った。早稲田に入りたいと思って、陸上を始めました。もう1度、それを意識して、そういう走りができればいいと思う」。小学生からあこがれたエンジのユニホームも、今回が最後。燃えないわけがない。

 状態は万全でない。11月2日の全日本大学駅伝は、左すねを疲労骨折しながら、自らの区間記録に3秒まで迫った。その後は、左アキレスけん上部が痛んだ。一時は出場すら危ぶまれたが、復調してきた。座骨神経痛に苦しんだ前回同様、花の2区は回避し、3区を走る。

 総合優勝を狙う上で、エースの活躍は欠かせない。過去12回の優勝のうち、1980年代以降は3度。84年は坂口泰(中国電力監督)、85年は遠藤司(早大前監督)、93年は渡辺康幸(早大監督)が、いずれも2区を務め、チームを勢いづかせた。今回も竹沢の3区で、トップに立つ展開が必勝パターンの1つだ。

 渡辺監督は「早稲田はもともと飛び道具があって、周囲が支える。大砲がいないと戦えない」と話す。竹沢は「晴れればいい。湿気があると、うずいたりするので」と故障個所を気にしている。天も味方に、快走できるか。当日の予報は、快晴だ。【佐々木一郎】