初陣勝利ならず。創部49年目で初出場した南北海道代表の函館ラサールは、長崎北陽台(長崎)に敗れた。7トライを許したが、チームスローガン「オールウェイズアタック」を全国でも実践。OBら約500人の大声援を受け、素早いパスまわしでかく乱し、2トライを奪う意地を見せた。

 全国の壁に阻まれた。函館ラサールフィフティーンは厳しい表情を浮かべ、ピッチを後にした。長崎北陽台とのFW勝負に屈し、許した7トライ中3トライはモールを押し込まれた。ゴールライン間際でのせめぎ合いで食い止める場面もあったが、相手の突破力が上だった。NO8沖野玄主将(3年)は涙こそ見せなかったが、「これが花園なんだなと思った」と、100%のプレーができなかった悔しさに唇をかんだ。

 チームが掲げる「オールウェイズアタック」を貫いた。花園初トライは0-13の劣勢にも全員が気後れせず攻め込んだ。前半24分、WTB安田拓来(たくる、3年)がスクラムから素早くつながれたパスを受けると、空いたスペースを走って右中間に飛び込んだ。名前の由来は「タックル」。帯広柏葉で花園を目指した祖父裕彦さん(75)父悟明さん(50)、3世代の夢をかなえて立った舞台で、決めた。「チームを勢いづけられたかな」と、一時は反撃ムードをつくるプレーを振り返った。

 25点差をつけられた後半14分。ラックからフッカー六車高寧(2年)が2トライ目を挙げた。「先輩たちがおしりを押してくれた」。「オールウェイズアタック」。リードされてもあきらめない姿勢、攻撃でも守備でも前へ向かう姿勢で強豪のゴールラインを割る意地を見せた。

 南北海道大会でW杯イングランド大会日本代表主将、リーチ・マイケル(27=東芝)の母校、札幌山の手の16連覇を阻止してつかんだ代表切符。無駄にはできない。この日の先発5人が2年生。六車は次期主将に決まっている。「得たものは大きい。次は絶対に花園で勝つと思った」。グラウンドに立ったからこそ、さらなる高みを目指す士気も上がった。この1敗が、この先の函館ラサールラグビー部の歓喜につながっていく。【保坂果那】

 ◆函館勢と花園 函館市中(現函館)が1948年(昭23)大会で両校優勝(決勝6-6秋田工)するなど、昨年度までに7校が15勝33敗3分けの成績を残している。内訳は函館大有斗6勝13敗、函館北(現函館)4勝5敗、函館市中2勝3分け、函館稜北2勝3敗、函館商1勝5敗、函館西2敗、函館工5敗。この日、函館ラサールが敗れたたため通算15勝34敗3分けとなった。