関西学院(兵庫)が4大会ぶりの花園初戦を“ドカ食い作戦”で突破した。1回戦屈指の好カードで、茗渓学園(茨城)に得意のパスラグビーを許さず勝利。毎晩2キロ分の食事を取り、平均体重を約8キロ増やしたFW陣を中心に堅い守りを見せつけた。

 関西学院が4大会ぶりの花園を支配した。早い出足の守りで、奔放なパス、ハンドリングという茗渓学園のお家芸を封じ込む。そして、前半21分と後半22分に、SO房本がFB碓井、CTB金森を使い、一瞬の突破でトライを決めた。碓井の2PGもあった。

 「スタッフより、選手の方が冷静に試合を進めてくれました」と安藤監督が笑う。完璧なゲーム運びを支えたのは、大きくなったFW陣だった。

 新チーム発足の1年前から、FW陣はサイズアップに取り組んだ。「大学生は脂肪に注意が必要だが、高校生はまずでかくなることが大事」。関学大との兼任トレーナー阿児(あこ)嘉浩氏の教えを実践した。

 だから食べた。夕食前に体重を量り、夕食後にまた量る。連日「1食2キロ増」の仰天ノルマだ。どんぶり飯、肉類、野菜、乳製品…。フランカー志智(しち)主将は「さすがに何度か吐きました」と笑う。半年で約12キロ増に成功した“優等生”のフランカー上條は「1度に食べられへんので、仮眠とったりして分けて食べて…」。時には約3時間の優雅? な夕食になった。

 各自が目標体重をクリアするまで荒行を続けた。おかげで、FW平均体重は1年前から約8キロ増え、91・1キロになった。「今年はFWで勝負できるようになったのが、大きいです」と安藤監督がいう。花園の過去最高成績は10年度大会の4強。重戦車を備えた関西学院が6度目の出場で、どっしりした1歩を踏み出した。【加藤裕一】