25大会連続25度目の出場となった石見智翠館(島根)が、初の準決勝進出を果たした。U-17(17歳以下)日本代表で副将を務めるWTB仁熊(にぐま)秀斗(2年)が関西学院(兵庫)の守備を突破。後半4トライの猛攻に貢献して33-8で勝利。島根県勢初の4強となり、7日の準決勝では桐蔭学園(神奈川)と対戦する。

 一気に駆け抜けた。石見智翠館の仁熊は試合終了間際、相手がノックオンしたボールを足でひっかけた。3度ボールを蹴って、50メートル6秒0の足で追いかける。約70メートルの“ドリブル”でトライを挙げて「中学はサッカー部だった」とにやり。サッカー日本代表FW本田圭佑が好きな2年生が、自慢の足でダメ押しだ。

 初の4強を狙う試合。前半にフランカー岡山主将の負傷交代があったが「いつも頼ってばかり。主将がいない中、自分のランでトライに結びつけようと思った」と闘志を燃やした。安藤監督は「流れを変えてくれた。2年だけど頼れる男になっている。先輩にもズケズケと意見をいう、ふてぶてしさもある」とほめた。

 勝利のためなら衝突もいとわない。昨夏には3年に「先輩のプレーはこうした方がいいです」と意見すると「お前、間違っているぞ」と言われた。「そりゃちゃうぞ」と返し、けんか寸前の激論を展開したが「負けてから『あの時いっておけばよかった』と後悔するよりも、意見をいう方がいい」と口にする。

 7日の準決勝は桐蔭学園。仁熊は「挑戦者なのでひたむきにやりたい」。かつて江の川として歴史を刻んできた石見智翠館は、ベスト4で満足するつもりはさらさらない。【益田一弘】

 ◆石見智翠館(いわみちすいかん)1907年(明40)創立の私立校。09年に江の川から校名変更した。主な学校OBはプロ野球中日の谷繁元信監督。ラグビー部は90年創部。部員92人。所在地は江津市渡津町1904の1。竹迫繁校長。