48年ぶりのオリンピック(五輪)メダルへの第1歩。競泳女子の池江璃花子(18=ルネサンス亀戸)が、パンパシフィック選手権(東京辰巳国際水泳場)の開幕を翌日に控えた8日、最終調整を行った。得意とする11日の100メートルバタフライは「順位重視で」と主要国際大会初メダルに照準を合わせた。同種目で日本勢の五輪メダルは72年ミュンヘン大会金の青木まゆみだけ。2年後の東京へ、日本女子が半世紀も阻まれた壁を打ち破る道が東京から始まる。

 閉ざされた扉を開くチャレンジが始まる。池江は、米国、オーストラリアなど強豪が集うパンパシ開幕を翌日に控えて「全力で泳げば、自己ベストは出ると思うが、どちらかというと順位重視。勝てるレースをしたい」と冷静に話した。

 11日に行われる得意の100メートルバタフライ。日本女子にとっては鬼門だ。五輪メダルは72年ミュンヘン大会金メダルの青木だけ。スピードとパワーが求められる同種目では日本女子は体格的に不利。持久力も必要で五輪メダル3個の200メートル平泳ぎと比べれば、やはり欧米勢の壁は高い。

 池江も16年リオ五輪5位、昨年世界選手権6位と表彰台に届いていない。20年東京五輪は、同種目でのメダルが最大の目標。その第1歩として主要国際大会初メダルをつかむ。「海外勢は積極的にいく。私は後半から上げる形だったが、たくさん泳いで前にいかなきゃダメだとわかった」。

 6月に出した日本記録56秒23は、今季世界ランク1位タイ。今大会は世界記録55秒48のサラ・ショーストロム(スウェーデン)はいない。「サラさんしかみていない。少しでも近づきたい」という18歳にとって、パンパシでの初メダルは、大きな自信につながる。

 「自分としてはメダルをとる前提で試合に臨む。今まで悔しかった分、日本で記録を出しても、世界大会で出すのは難しいなと感じていた。ここで1度、爆発していい結果を残すつもり」。時は来た。2年後の快挙実現への道は、同じ東京から始まる。【益田一弘】