20年東京五輪の会場で、イケメンサーファーが世界へ名乗りを上げた。

五輪の各大陸予選を兼ねて9月に宮崎市で開催されるワールドゲームズ(WG=世界選手権に相当)の代表を選考する大会で、男子は去年のWG4位の村上舜(22)が優勝した。

決勝では最高評価となるエクセレントスコア(8点以上)を2回出す圧勝だった。女子は松田詩野(16)が優勝し、WG出場の男女各3人が「波乗りジャパン」に選出された。

こんがり焼けた小麦色の肌に、キリッとした目つき。高い鼻筋の左の鼻にはシルバーのピアスがキラリと輝く。真っ赤なバラと「THANK YOU」の文字があしらわれた黒色のキャップをかぶり、村上は表彰台に上がった。海水で髪をぬらしながら“水もしたたるいい男”は、優勝トロフィーを両手で持ち上げて喜んだ。「朝イチから調子がよかったのでいけると思った。素直にうれしい」と白い歯を輝かせた。

午後になると波が荒れ始めたが、苦戦するほかの選手を横目に涼しい顔で乗りこなした。準々決勝では大原洋人を破るなど、不安定な波にもかかわらず切れ味鋭いターンを連発。体勢が崩れても持ち前の柔軟性でバランスを取り続け、荒波にも負けない程の激しい水しぶきを上げた。決勝ではエクセレントスコアの8・80と8・67点を挙げ、合計点で2位の大橋海人に8点以上差をつけて優勝。「相手に合わせずに1人でできた。それでも今日は80点ぐらい」とおごらなかった。

サーフィンを始めたのは7歳。補助についた知人から背中を押されながらも、初挑戦でいきなり波に乗った。「その感覚は今でも忘れられない」とどっぷりとはまった。抜群のセンスと確かな実力で、WGの出場権を獲得。去年までは東京五輪を意識していなかったが、当然変わった「これで目標になりました。ワールドゲームズではゴールドメダルを狙いたい」と宣言。日本サーフィン界屈指のイケメンが、世界でも輝きを見せる。【佐々木隆史】

◆村上舜(むらかみ・しゅん)1997年(平9)3月3日、神奈川・湯河原町出身。父の影響で7歳からサーフィンを始める。12年全日本選手権優勝。18年WG個人4位、団体で優勝。弟・蓮もプロサーファー。趣味もサーフィン。165センチ、55キロ。

◆サーフィン東京五輪選考方法 東京五輪出場枠は男女各20人で、国別出場枠は最大各2人。優先順位が高い順から、(1)チャンピオンシップツアー(CT)ランキング上位(男子10人、女子8人)(2)20年ワールドゲームズの成績上位(男子4人、女子6人)(3)19年ワールドゲームズの4大陸最上位(アジア、欧州、アフリカ、オセアニアから男女各4人)となる。残る男女各2人は、19年パンアメリカン大会の優勝者と開催国枠。ただし開催国枠はCT、ワールドゲームズで出場が決まらなかった時のみ。