20年東京五輪出場を目指す平野歩夢(20=木下グループ)のスケートボード国際大会デビュー戦は、ほろ苦いものになった。

3本ともミスして45秒を滑りきることができず。得点も3本目の42・70が最高だった。シード選手を除いた予選こそ突破できたが、昨年世界選手権の13~27位が加わった準々決勝は30人中24位。

優勝した5月の日本選手権時より、進化した姿も見せた。課題としていたコース上部の鉄製パイプ(コーピング)を使った技にも積極的に挑戦。武器でもある高さも健在で、大技のバックサイド540もきれいに決めた。

それでも、世界との差は大きかった。昨年の世界選手権12位までがシードされて不在でも、技の難度は不足していた。正確な滑りは見せたがスピード感には乏しかった。最後まで滑り切れていたとしても、準決勝進出は微妙。世界の中での現在地を知るためには、かっこうの舞台だった。

もっとも、冬夏五輪出場が「いばらの道」であることは挑戦している本人が一番分かっている。周囲の騒ぎを抑えるように「簡単なことではない」と繰り返してきた。だからこそ「挑戦する価値がある」とも話した。

それでも、昨年11月に「スルーするわけにはいかない」とスケートボード挑戦を表明して以来、わずか半年で日本一になり、世界の舞台に立った。「もともとのセンスはある。練習を積めば、まだまだ伸びる」と日本代表の早川大輔コーチも話す。大きな困難を乗り越えて五輪連続銀メダルを獲得した平野。秘めた可能性は想像を超える。

東京五輪出場20人に入るためには、五輪ポイントを獲得してランキング上位に入ることが必要。次のポイント付与大会は7月14日からの「国際オープン」(中国・南京)、さらに9月に行われる世界選手権(ブラジル・サンパウロ)にも日本代表としての出場が決まっている。挑戦は、まだ始まったばかりだ。