テコンドーの千葉グランプリ(GP)が13~15日、千葉ポートアリーナで行われる。20年東京オリンピック(五輪)の開催国枠派遣階級決定に関わる大舞台。男子80キロ級で全日本選手権8連覇中の江畑秀範(27=スチールエンジ)は最後のアピールを目指す。五輪で採用されている4階級のうち、派遣されるのは2階級のみ。身長197センチの大器が、悲願の表彰台で80キロ級の可能性を示す。

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ライバルは世界の猛者であり、国内の仲間だ。五輪開催国枠の派遣階級決定が今秋に迫り、大阪市内で調整する江畑は「絶対に表彰台に立って、存在感を示したい。『日本には江畑しかおらんぞ』とアピールしたい」と表情を引き締めた。

東京五輪で採用される4階級のうち、派遣されるのは男女2階級。5月の世界選手権で各階級のメダル獲得者がおらず、派遣階級決定は千葉GP後の強化委員会に持ち越された。江畑は世界選手権で韓国人選手に1回戦負け。以降は約3分の2を競技発祥の韓国で武者修行し「確実に強くなっている実感がある」と誓う。12月の五輪ランキング5位以内などで個人の五輪内定資格が得られるが、日本選手は厳しい立場。五輪最終選考会の20年1月へ、開催国枠の派遣階級に承認されることが第1歩となる。

国内で他を圧倒する魅力は日本人離れした197センチの身長。大阪夕陽丘学園高2年の最後に競技と出会い「俺、これで一生やっていこう」と足技勝負にひかれた。高3の1月には1人でタイへ渡り、街灯がない真っ暗な場所で前蹴りを1日1000回。1度も相手と対人練習は組まれず、涙を流しながら、シャワーなし、自給自足の1カ月を完走した。わずか2年で全日本選手権を制し「その土台で今がある」と自信を持つ。

テコンドーは00年シドニー五輪女子67キロ級銅メダルの岡本依子が、唯一の五輪メダリストだ。江畑は「男子でメダルを取れば『あの背の高い子』と覚えられる。競技を知ってもらうために、絶対に僕が取る」と前だけを見る。千葉を、その序章とする。【松本航】

◆江畑秀範(えばた・ひでのり)1992年(平4)8月8日、大阪府生まれ。小中学校と野球に打ち込み、高2でテコンドーを始める。大阪夕陽丘学園高から大産大。12年全日本選手権から男子80キロ級8連覇中。18年ジャカルタ・アジア大会代表。最近、影響を受けたのはキングコング西野亮広の著書「新世界」。197センチ、80キロ。