西田秀聖(ひでまさ、17=奈良県連盟)が、東京五輪代表の楢崎智亜(24=TEAM au)らを抑え、初優勝した。

「黒縁めがねクライマー」こと西田が、決勝で変幻自在な体の動きを披露した。壁の高さは15メートル、最大傾斜は150度。難関の終盤でホールド(突起物)に勢いよく飛びついて、唯一完登した。初優勝が決まると「単純にうれしい。久々の大会で緊張がとてつもなく、不安もあったけど粘り強く自分の登りができた」と大粒の汗を拭った。

奈良・天理高3年で、強みの持久力をいかし、世界ユース選手権などでも優勝経験のある実力者だ。高校にクライミング部はないため、奈良と大阪のジムで週4日練習に励む。トップ選手では珍しく、コンタクトレンズを使用せず、黒縁めがねをかけて競技するのがが特長。15メートル以上の壁を登るに当たり、めがねの落下も心配だが、これまで落下経験はないという。

新型コロナウイルスの影響で、今後はW杯に参戦できるか不透明だが「W杯の年間ランキング1位を目指したい」と目標を掲げる。17歳の黒縁めがねクライマーは、さらに高い壁を乗り越える覚悟だ。【峯岸佑樹】