2度の4大大会優勝を誇る世界10位の大坂なおみ(22=日清食品)が、恋人でラッパーのYBNコーデの23歳の誕生日にささげた逆転白星だ。サーブに苦しむ不調ながら、4-6、6-2、7-5の1時間53分で逆転勝ち。大会自身初のベスト4に進んだ。準決勝では同22位のメルテンス(ベルギー)と対戦する。対戦成績は1勝1敗。

試合前に、自身のSNSで、誕生日の恋人と見つめ合う写真を投稿。「あなたの人生を一緒に歩めることが本当に幸運。誕生日に一緒にいられないけど、ちゃんとお返しはする。愛している」と書き込んだ。

しかし、試合が始まると、第1サーブが入らず、第2サーブも威力が出ない。「(心が)スーパー後ろ向きになった」と、今大会初めて、ミスに大声を上げた。ラケットも投げた。ベンチでタオルもかぶった。心が折れそうだった。

次週にすぐに全米が待ち受ける。約6カ月半ぶりの実戦で、連日の試合に「体が硬くて、背中が壊れたらどうしようとか、すごく神経質になった」ことが、心をかき乱した。第1セットを落とし、第2セットも0-2。しかし、「こんなことで負けたくない」と、必死に耐えた。一気に流れを変え、9ゲームを連取。ついにひっくり返した。

今までなら、心が折れ、集中力は切れていたに違いない。声を上げても、ラケットを投げても、それが続くことはなかった。「気持ちを切り替えることができたのは、うれしかった」。大坂が、また1つ、6度目のツアー優勝に向け前進だ。