まさかのゴール! 東京都ホッケー協会と日本ホッケー協会は6日、五輪会場の大井ホッケー場で「2020大井・高等学校ホッケー大会」を開催した。

全国高校総体が中止になった高校生に実戦の機会を提供する「救済大会」で、高校時代にホッケー部で同協会公認アンバサダーのお笑い芸人ロッチの中岡創一(42)が開催の音頭をとって実現した「中岡杯」。ミニゲームでは中岡が高校生とプレー。ゴール右から倒れ込みながらシュートしゴール。「高校時代以来だから24、25年ぶりです」と驚いた。

中岡は肩で息をしながら、最前線でベタ張りした。こぼれ球に反応して、体を投げ出してシュート。高校生の相手GKの足の下を抜けてゴールに入った。バンザイした中岡は「GKが足を上げて入れさせてくれました。優しさが身にしみて…。でも気持ちよかった。高校生が思ったよりも、真剣に楽しそうにやってくれた。それが1番です」。

「中岡杯」のきっかけは、6月の高校生との交流イベント。高校総体がなくなり「代替試合があるならやりたい」という高校生の言葉に「前向きに代わりになる大会をつくりたい」と反応した。リップサービスではなかった。イベント終了後に、すぐさま日本協会と話し合いに入った。同協会関係者は「その後は毎日のように『なんかできることありますか?』と連絡をもらいました」。コロナ禍で安全面のリスクはゼロにならない。ただ中岡が音頭をとったことで及び腰だった関係者の理解を得られたという。

中岡は「やりたい人もいる、やらない方がいいという人もいる。心が折れそうな、やめちゃおうかなというところもあった。でも『やめよう、やめよう』で全部をやめてしまったら…。大人として、子どもに見せられる姿じゃないなと思った」。コロナ禍で参加は東京都、神奈川県の男女8チーム、選手約200人となったが、約束をしっかり守って、大会を実現させた。

男子の東京学芸大付は、成城学園と対戦。試合終了間際に決勝点を奪って、1-0で勝利した。国井大地(3年)は「(大井ホッケー場は)芝が青くて、設備が整っていていいなと思いました。ホッケーはマイナーですが、中岡さんがアンバサダーを務めていただいてうれしいし、こういう試合の機会ができたこともうれしいです」と感謝した。

中岡はイベント最後のスピーチで高校生に語りかけた。「大変だったのは僕じゃなくて、大会をつくろうとしてくれた周りの大人たちです。そして、パワーをくれたのはみんなのやる気。君たちが大人になった時、子供たちに何かあれば、大人としていろいろなことをやってほしい。そういうことが学べるのは…」。

そこで一拍置いてから「今夜8時の『(世界の果てまで)イッテQ!』です! すごくいいスピーチだと思ったでしょ? 残念ながら宣伝でしたー」と会場を笑わせた。その上で「これからもホッケーを愛してください」と呼びかけていた。【益田一弘】