2度の4大大会優勝を誇る世界9位の大坂なおみ(22=日清食品)が、18年以来2度目の全米女王まで残り2勝とした。過去3戦全敗だった同93位のシェルビー・ロジャース(米国)に6-3、6-4で勝ち、2年ぶりのベスト4に進出。

この日は、18年の全米で4大大会シングルス日本人初優勝を飾った記念日で、2度目の優勝に大きく前進した。準決勝では同41位のジェニファー・ブレイディ(米国)と対戦する。対戦成績は1勝1敗。   ◇   ◇   ◇

すでに女王の風格を漂わせる大坂は、全く動じない。直近対決が3年前とはいえ、ロジャースには過去3戦全敗。「相手が少し優位だと思っていた」という、互角のパワーで向かってくる相手に、過去が全く別人のように打ち勝った。「ちょっとはリベンジできたかな」。全米準々決勝という大舞台で、余裕の笑顔だ。

決定打は大坂が24本に対し、相手は23本と互角。しかし大坂は、凡ミスを相手の3分の1以下の8本に抑えた。これまで経験した4大大会本戦58試合のうち、凡ミスを1桁に抑えたのは、今回で3戦目。「攻撃をすれば、凡ミスも出る。でも、それを気にしないこと」。その冷静さと自信が、安定したプレーにつながっている。

これまでとは見違えるような諦めない姿勢も示した。第2セット、大坂4-3リードで自分のサーブ。40-0で、相手が絶妙のドロップショットを放った。1点を失っても問題がない場面。以前なら、追わずに見送ったはずだが、大坂は走った。そして追いついた。相手はぼうぜんと見送った。

今大会、1回戦から5試合連続でセンターコートで戦っている。4大大会の同一大会で、日本女子が5度のセンターコートに出場したのは、自身が19年全豪で記録しただけ。全豪時は2、3回戦が他のコートで、5試合連続となると初めてになる。世界で最も稼ぐ女子アスリートで、人種差別への抗議のマスクも含め、今大会最大の注目株に、最高の舞台が提供されている。

全米のセンターコートは、収容人員約2万人の世界最大級だ。9月8日は、この最大の舞台で、2年前の18年に日本人初の4大大会シングルス優勝を飾った記念すべき日でもある。「前はまだベイビーだったかな。今は、もっと意識が高くなった」。2度目の全米女王戴冠が現実味を帯びてきた。

◆WOWOW放送予定 10日午前7時50分から。11日午前3時55分から。ともにWOWOWライブ。男女シングルス準々決勝ほか。生放送。WOWOWメンバーズオンデマンドでもライブ配信。