卓球女子ワールドカップ(W杯)(中国・威海市)の準決勝が10日、行われ世界ランキング2位の伊藤美誠(20=スターツ)が同3位の孫穎莎(20=中国)と対戦し、2-4(10-12、8-11、6-11、12-10、11-4、4-11)で敗れた。この日夜に行われる3位決定戦に回った。

第4ゲームは伊藤の良さが出た。7-9とリードされ敗色濃厚な中、孫の強力なフォアクロスに伊藤は反応よく無理せずフォアでブロック。孫は意表を突かれその球をネットに引っ掛ける。続く得点も同じ形で取り9-9にし、このゲームをこのまま粘り勝ちした。

続く第5ゲームでもこの勢いを生かす。6連続得点などで11-4で孫を押さえ込み、ゲームカウント2-3とする。しかし、孫の地力が上回り最終ゲームを4-11で落とし、初の決勝進出はならなかった。

孫は伊藤や平野美宇と同世代。来夏に延期された東京五輪では中国代表として出場する可能性があり、孫を攻略しない限り、日本選手の金メダル獲得は難しいとみられる。その意味でも今大会、孫に敗れた伊藤と石川佳純は、この敗戦を分析し、東京五輪へ向けた孫攻略法につなげてほしいところだ。

一方、日本人を含む外国人選手には不利な条件での大会だった。新型コロナウイルスの影響で約8カ月ぶりの国際大会。卓球関係者によると中国入国後、8日程度の隔離期間があり練習が出来なかったという。一方の中国選手はその間も練習を続けられ、調整量の差は明らかだった。

8日に東京で開催された体操の国際大会では日本、米国、ロシア、中国の4カ国が参加。それぞれの国では2週間程度の隔離と定期的なPCR検査を行ったものの、試合直前の大事な時期となる来日後は、隔離措置を免除し、どの国の選手も練習できる環境を整えた。必然的に開催国有利となる条件で国際大会を再開させた卓球とは、明確な違いが出た。【三須一紀】