池江璃花子(20=ルネサンス)が、白血病からの復帰以来初の表彰台に上がった。50メートル自由形で予選は25秒06の全体1位で通過。決勝は24秒91とタイムを上げて2位に入った。復帰後初の優勝まで0秒16差。オリンピック(五輪)本番会場での初レースで、しびれるような勝負を展開した。東京五輪挑戦には慎重な姿勢を示したが、レースにおいては「次は1番を狙いたい」と宣言。負けず嫌いの20歳に火がついた。

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もう出遅れない。池江は浮き上がって3番手につけた。泳ぎの技術で先行する左の五十嵐、右の大本に迫る。「ラスト10メートルで大本選手が見えた瞬間、体が固まった」。自己記録で優勝した大本に0秒16届かず。復帰後初の表彰台で「成長を感じられた。でも2番。中途半端。次はバシッと決められるように。次は1番を狙いたい」と力を込めた。

五輪会場で初のレース。予選は全体トップの25秒06。目標だった25秒3台をクリアして、両手で顔を覆って涙。「1番通過でうれしかった」。勢いのまま、決勝で自身の日本記録24秒21に0秒70差とした。西崎コーチは「いい意味で予想を裏切ってくれる」。レースこそが池江の輝く場所だ。

白血病の診断を受けた19年2月8日から2年。入院中は体重が最大で15キロ落ちた。昨年3月にプールに入って徐々に練習再開。最近はバランスのよい3食+補食を意識する。これまでは油ものを食べると次の食事が食べられないこともあったが「おかわりもするようにしています」。体重は昨年5月から6キロ増。「体重が戻ってきて飛び込んでから最初の15メートルが速くなった。練習再開から1年もたってない中で、自己ベストまで1秒以内。すごくうれしい。さらに上にいけるようにしたい」と言った。

現時点で50メートル、100メートルの自由形で代表選考を兼ねた日本選手権の出場資格を得ることが確実。ただ「五輪を目指してやっているとは言いきれない。体調とも向き合って焦らずやっていきたい。日本の中で競うレースをしても世界では勝てないので」と冷静。一方で今年の目標は明確に掲げた。「今年は50メートル自由形で王座奪還が目標です。登りつめたい」。伸びていくタイムにも一喜一憂はしない。まずは競技の原点である、1等賞を狙っていく。【益田一弘】

〇…池江は東京都オープン(20、21日、東京辰巳国際水泳場)で本命のバタフライを“解禁”する。50メートル、100メートルにエントリー。「自信は正直ないですけど、自分なりに精いっぱい泳げればいいかな」。