2年に1度のフィギュアスケート団体戦、世界国別対抗戦(大阪)が15日に開幕する。

17年以来2大会ぶり3度目の優勝を狙う日本の男子代表、羽生結弦(26=ANA)が14日に会場入り。公式練習後のオンライン取材で競泳女子の池江璃花子や男子ゴルフの松山英樹を祝福した。今夏の東京五輪出場を決めた池江にエールを送るとともに、受けた刺激を胸に氷上で貢献していく意欲を高めた。

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冬季五輪2連覇の羽生も興奮した。コロナ禍が深刻な大阪での開催について神妙に語った後、2人の活躍に表情を明るくする。白血病を乗り越えた池江について「僕なんか比べものにならないくらい苦しかったと思います。僕は平昌五輪の時、結構重い捻挫をして練習できなかった期間がたくさんありましたけど、池江選手の『努力は報われるんだな』という言葉を聞いた時、練習している時だけが努力じゃないんだな、とあらためて感じました」。池江の東京五輪が内定したレース後のコメントも把握した上で最大限、称賛した。

自身は、今回と同じ大阪の会場で17年11月に右足首を負傷。平昌五輪出場すら危ぶまれたが、3カ月後の復帰ぶっつけ本番でアジア初の2連覇を遂げた。通じるものがある。「池江選手だからこそ感じた苦痛だったり、悲しみだったり、喪失感だったり…。それを感じた日々は絶対に努力につながっていると思う。ぜひ自信を持って五輪に挑んでほしいなと思います」と今夏へエールへ送り「五輪を経験した身から言わせていただきます。偉そうにすいません」と笑顔で続けた。

松山のマスターズ優勝にも胸が高鳴った。東北福祉大(仙台市)出身のゴルファーとは宮城県や市の表彰で「お会いしたことがある」。アジア初の共通点もあった。3月の世界選手権(ストックホルム)から帰国し、隔離中だった日本時間12日の早朝。歓喜の瞬間こそ体調管理優先で見られなかったが「実は生で見ていて。9ホールくらいまで。毎日、見て応援させていただいた」と明かし「仙台市民として宮城県民として、すごくすごく誇らしい。ゴルフ界で日本人がマスターズを制覇することが、どれだけ大変か。おめでとう、とか、すごいですね、という言葉ではなく、日本ゴルフ界に松山英樹さんという方がいたんだ、という証しを残した」と賛辞を贈った。

刺激に突き動かされ、優勝に導く。完成していない世界初のクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)挑戦は封印。「僕の気持ち優先より、みんなの力になれる演技を」と私欲を捨てて日の丸を背負う。【木下淳】