東京五輪・パラリンピック組織委員会などが今日28日に示す「観客上限方針」が、事実上先送りの内容となっていることが27日、複数の大会関係者への取材で分かった。判断時期を6月とすることは盛り込む方針だが、緊急事態宣言が発令されている中「上限50%」や「無観客」といった具体的な数値を示すことは困難になった。

組織委の橋本聖子会長は4月中に国内観客の上限方針を分かりやすく示したいと表明していた。しかし、緊急事態宣言が発令される中、ある大会関係者は「今の時期に50%と出せば批判を受けるし、無観客の選択肢を示せば世の中の流れが一気にそちらに行く。どちらを示しても良いことはない」と悩ましく語った。

組織委内では6月でも判断時期は遅いとし「6月上旬まで」というタイムリミットを方針として示したい考えもある。組織委関係者は「『6月まで』とすれば5月中に決めても良い。実際、5月中に決めないと、チケットのことや関係する業界に大きな迷惑が掛かる」と心配した。

政府や組織委内では上限50%が落としどころと見ているのが現状。感染状況が好転しなければ最後のカードとして無観客も選択肢としてある。緊急事態宣言が明ける頃合いを見て、具体的に判断していく見通し。