早大・大田尾竜彦新監督(39)の初陣は黒星となった。

WTB堀尾、SH河村のトライとSO吉村のキックで前半は14-12でリード。大田尾監督は無線機で指示を出し、戦況をメモに取りながら指揮した。同じスタンドには、前監督で3月に勇退した相良南海夫アドバイザー(リクルートディレクター)の姿もあった。

後半は一転、大量32失点を喫した。開始から2連続トライで逆転されると、フランカー相良の好トライで21-26としたが、突き放された。それでも後半43分、右の大外を破ってFB槙がトライすると、大田尾監督はうなずき、納得の表情を見せた。

佐賀工高から早大。SOとして3年時の02年度に大学日本一となり、4年時の03年度には主将を務めた。ヤマハ発動機ジュビロでは14年度の日本選手権初優勝などに貢献。18年に引退し、コーチングコーディネーターを務めていた。

3月末で退団し、4月1日付で正式就任。試合後、新監督としてワセダに復帰しての初戦を終えた心境を問われると「甘くないな、の一言です」と語った。

試合については「最初の入りのところで5メートルのラインアウト3つ、スクラム1つ失ったのが非常に痛かったかなと。ただ、春から取り組んできた部分に対しては、東海大学さんと戦えていたので、そこは満足しています」と振り返った。

「やってきたことを徹底しよう」。そうフィフティーンを送り出す。その「やってきたこと」として、ここまで取り組んできたことにスクラムを挙げ「非常に良かった。コラプシング(劣勢時に多いスクラムを故意に崩す反則)が1つもなかった。成果が出ている」と、指揮し始めて間もない中で着手した部分に手応えをつかんだ。

東海大に対しては「非常にタイトなプレーをされていて、バックファイブの能力がトップレベル。12番、13番の能力が高くてターゲットになる相手だな、非常にいいチームだなと思いました。見習うべき点があった」と対戦から学び、次戦に向けては「今日できなかった部分であるバックスリーの連係、ヒットアンドゴーへの対応。この2つを重点的に。キックへの対応などは、まだ手をつけていない」と伸びしろを強調し「今までやってきたことを信じて、何も疑わずにやっていきたい」と意気込んだ。

前年度の全国大学ラグビー選手権決勝で天理大に敗れ、2連覇を逃した早大。今季はCTB長田が主将、プロップ小林が副将を務める。スローガンは「Be Hungry」とした。日本一になった時だけ歌える第2部歌「荒ぶる」を、指導者としても披露することはもちろん、後輩である教え子たちのために。王座奪還が就任1年目から狙っていく目標だ。【木下淳】