バスケットボール男子日本代表の指揮を執ることになったトム・ホーバス新監督が22日、就任会見で「すごいチャレンジが大きいかなと思うが、こういうチャレンジは本当に好き」と意気込みを口にした。

東京五輪でバスケットボール女子日本代表を銀メダルに導いた名将。長らく女子チームの指導に関わってきただけに、男子代表監督のオファーを受けたときには「ちょっとびっくりした」と打ち明ける。強化担当トップの東野智弥技術委員長や三屋裕子会長らと会話を重ねる中で結論を出した。「いろいろ考えた」という中で、「やっぱりこの道が面白い。いいかなと思います」。新たな挑戦に闘志を燃やす。

通訳を介さずに日本語でコミュニケーションを取り、熱意あふれる指導で日本女子のレベルを引き上げた。この日も、「みんな分かっているが、間違いなく私は熱い人」と自らを表現。五輪後、テレビ番組に出演した女子選手らがホーバス流の厳しい練習について口にしていたことにも言及し、「いいリレーション(関係)ができていたから、そういうコーチングをやりました。今回も男子と、良いリレーションシップを取っていく。私のDNAは私のDNA。少しアジャストするかもしれないが、選手のために厳しくする。選手をうまくさせたいから、こういうスタイルをやっていく」。トム流の方針を継続していくことを宣言した。

男子日本代表のエースで、NBAでプレーする八村塁(ウィザーズ)や渡辺雄太(ラプターズ)とも積極的にコミュニケーションを取っていく。「塁とも雄太とも、アメリカでも会いたいし話したい」と力を込めた。今回のオンライン会見に米国から参加したホーバス氏は、来月10日ごろに再来日予定という。

東京五輪での銀メダル獲得により、その手腕に対して国際的な評価が高まった。本人も「いろいろオファーもらいました」と明かすなかで、最終的には日本に戻り、男子チームを率いることを選んだ。その理由については、「チャレンジが結構面白いと思う。すごいレベルアップできそう。僕のバスケのスタイルがぴったりかなと思ったし、そこを上手にやれればすごく楽しみ」と説明した。

17年に女子代表監督に就任した際にホーバス監督は、「五輪決勝で米国を破って金メダルを取る」と宣言。直前のリオデジャネイロ五輪で女子はベスト8に躍進していた。一方で男子は、19年W杯で5戦全敗し、東京五輪でも3連敗で1次リーグ敗退。世界トップレベルとの差はまだまだ大きい。3年後のパリ五輪を念頭に置きつつ、「簡単には目標を言わない」。まずは選手たちとの関係性を構築し、さらに他国チームについても研究を重ねていく。

スピードを生かし、3点シュートを重視する戦術は、男子を率いることになっても変わらない。「結構面白いバスケができると思う。ルイ・ハチムラも、ユウタ・ワタナベも、このスタイルがぴったりだと思う。ここから楽しみ。ぜひ応援してください。僕は100パーセント頑張ります」と力を込めた。【奥岡幹浩】

◆トム・ホーバス 1967年1月31日生まれ。米ペンシルベニア州立大卒業後、ポルトガルリーグのスポルティングを経て90年にトヨタ自動車に入団。94年にNBAのアトランタ・ホークス入り。米独立リーグでプレーした後に再来日し、トヨタ自動車や東芝に所属。指導者としてはJX-ENEOSの指揮を執るなどし、17年に女子日本代表監督に就任。203センチ。