第2戦が行われ、男子は平野歩夢(23=TOKIOインカラミ)が95・80点で4年ぶりの優勝を飾った。

2位に昨年12月の開幕戦を制した平野流佳(太成学院大)が入り、日本勢のワンツー・フィニッシュとなった。昨季世界王者の戸塚優斗(ヨネックス)は9位だった。女子は20歳の冨田るき(チームJWSC)が89・40点で初優勝。姉の冨田せな(アルビレックス新潟)が3位で、姉妹で表彰台に立った。

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ナイター照明に照らされたハーフパイプコースに、冬季五輪2大会連続銀メダリストの技が鮮やかに映えた。スケートボードで東京オリンピック(五輪)に出場した平野歩が、スノーボードに復帰後初のW杯優勝。「練習の調子が悪かったが本番は賭けに出た。それがうまくいった」。喜びをかみしめた。

前日に予定されていた予選が強風の影響で中止となり、予選と決勝を1日でこなすハードスケジュール。非常に硬いコースコンディションにもなり、昨季世界王者の戸塚ら多くの選手が思うような滑りをできなかった。そうした中でも、平野歩は集中力を研ぎ澄ませた。昨年12月に世界で初めて成功させた大技「トリプルコーク1440」(斜め軸に縦3回転、横に4回転)こそ披露しなかったものの、高いレベルで技をつなぎ、決勝2本中2本目のランでトップスコアをマーク。直前の滑走でその時点での最高得点を記録した平野流らとハイタッチを交わし、たたえ合った。

スノーボードに加えてスケートボードとの二刀流で昨夏の東京五輪の舞台に立ち、日本人では史上5人目となる夏冬五輪出場を果たした。同じ「横乗り」でくくられることも多いが、2つの競技は似て非なるもの。スノーボードに復帰直後は「言葉で表せないような感覚的な部分のつじつまを合わせていく」という作業にまずは注力した。細かい感覚を取り戻すと一気に状態を上げ、さらなる進化を遂げた。

昨年12月には北京オリンピック(五輪)について、「また特別な五輪になると思う。自分にとって大きなチャレンジだし、そのなかでどこまでいけるか。自分自身と向き合っていきたい」と話していた。3大会連続の五輪出場へ、そして初めての五輪金メダルに向けて、視界は大きく広がっている。

◆平野歩夢(ひらの・あゆむ)1998年(平10)11月29日、新潟県村上市生まれ。家族の影響で4歳からスケートボードとスノーボードを始める。村上一中から開志国際高を経て、日大スポーツ科学部卒業。スノーボードのハーフパイプでは14年ソチ、18年平昌と2大会連続の銀メダル。昨夏の東京五輪ではスケートボードで日本人5人目の夏冬出場を果たした。家族は両親と兄、弟。160センチ、50キロ。

◆スノーボード 5種目ある。ハーフパイプは雪の斜面を半円状のコースを滑り、縁からジャンプする高さや回転技の難度を競う。スノーボードクロスは複数の選手が同時にスタートし、コブやジャンプ台などがあるコースを滑って着順を競う。スロープスタイルは前半が障害物、後半はジャンプ台が3つずつ設置されたコースを滑り、演技を競う。前回18年平昌五輪から採用されたビッグエアは30~40メートルの長さがあるジャンプ台を滑り降り、空中での回転技や着地を競う。パラレル大回転は平行に設けた2つのコースを使用し、着順を競う。パラレル大回転は斜面を速く滑り降りるかを競う種目。決勝トーナメントは平行にセットされた2コースを選手が同時に滑って対戦する。