友野一希(23=セントラルスポーツ)が、またパーソナルベストを更新した。国際スケート連盟(ISU)公認大会で自己最高の97・10点。昨年11月のグランプリ(GP)シリーズ最終戦ロシア杯でマークした95・81点を上回り、2位で発進した。

冒頭は4回転-3回転の2連続トーループを着氷。4回転サルコー、トリプルアクセル(3回転半)も降りた。ステップにやや乱れがあったものの、演技後は右の拳を握って納得。高得点に笑みを振りまいた。

スコアが上向いている理由を問われると「練習もしっかりできているし、それが気持ち的にも自信につながって、いい演技、試合にもつながっていると思います。今回、初めて優勝を目指したいという気持ちで。その気持ちが大会では出過ぎないようにしつつ、納得のいく演技ができるようにしたい。全日本でやり残したことを、しっかり。史上最高の自分を出せるようにしたい」と充実した言葉を並べた。

やり残したという全日本選手権は5位。夢の北京オリンピック(五輪)出場には届かなかった。「すべてを注ぐくらいの気持ちで出し切った。なので4大陸に向けてはモチベーションもちょっと下がってしまったんですけど、全日本ではSPでミスが出たり、コンビネーションとか出し切れていない部分があったので、この試合に向けて練習してきました」と氷の上で徐々に切り替えてきた。

「初めて優勝を目指したい」。そこに至った経緯については、こう説明した。

「ロシア杯が終わって、初めて(銅)メダルを取って悔しいと思いました。1位が見えた試合。僕は国際大会で優勝がない。(昨季NHK杯で)2位とか。全日本でも、五輪に出るような選手たちは、やっぱり、どの試合に出ても1番になっている。そこ目指さないと世界でも、もちろん日本でも戦っていけない。1番を、より目指したいなと。ロシアで意識し始めて、全日本で強い気持ちを持つようになりました」

首位の車俊煥(チャ・ジュンファン=韓国)を1・86点差で追い、フリーへ。「爆走」の「ラ・ラ・ランド」で、狙って初タイトルを奪いにいく。【木下淳】