24年パリオリンピック(五輪)を目指す16歳の内藤寧々(ねね、第一学院高)が、笑顔で国内大会第1戦の優勝を飾った。

空中で1回転半する大技「540(ファイブフォーティー)」を初成功させるなど、1本目で73・80点を記録。良きライバルであり、先輩として慕う東京五輪代表の大池水杜(25=ビザビ)を上回って頂点に立った。

   ◇   ◇   ◇   

盛り上がる会場の中心で、内藤が左手を握った。

昨年12月から練習を積んできたが「まだ怖い」と恐怖心を持つ「540」。日本女子で成功できるのは2~3人という大技を決めきり、大きな手応えを得た。

「すごくうれしいです。一番メーク(成功)したかった。決まって良かったです」

ニッコリと笑って、喜びを表現した。

昨夏、初採用となった東京五輪を見た。

練習を共にすることもある大池をはじめ、世界の選手の姿に胸が躍った。

「オリンピックをちゃんと見たのは初めてでした。やっぱりオリンピックの選手は格好良くて、夢の舞台に同じ選手として出られたらうれしいですし『オリンピックに向けて頑張りたい』と思う気持ちが強くなりました」

幼少期からバレエ、水泳、ピアノなどに取り組んだが、BMXに出会ったのは小学5年生の頃だった。地元神奈川の辻堂海浜公園でイベントをやっており「自転車で回ったり、飛んだりするのが不思議で『かっこいいな』と思いました」と高揚感があった。6年生で本格的に取り組みはじめ、急速に力を伸ばしている。

東京五輪後の21年9月には全日本選手権で初優勝。今季は世界の舞台へと羽ばたく1年になる。

「寧々」の名前は「誰にでも覚えてもらえる」という点を大切にした両親に名付けられた。支えてくれる人々への感謝を口にし「丁寧の『寧』っていう字ですが(性格は)真逆ですね!」と笑い飛ばした明るい16歳が、新風を送り込む。【松本航】

 

◆内藤寧々(ないとう・ねね)2006年(平18)1月31日、神奈川・川崎市生まれ。幼稚園の頃から茅ケ崎市で育つ。両親がアーバンスポーツに親しみ、海が近いことから娯楽でサーフィンなども経験。インスタグラムのアカウントが「nelly_bmx」のため、海外の選手からは「ネリー」と呼ばれる。今大会の公式練習日には茅ケ崎を午前7時半に出発したが、ゴールデンウイークの渋滞に巻き込まれ、到着は11時半。「パニックになった」と振り返りながらも、何とか公式練習に間に合って最終調整を完了させた。五輪代表の大池に対しては「ジャンプが高い。追いつけるぐらいになりたい。良き先輩と切磋琢磨(せっさたくま)して頑張りたい」。身長160センチ。