日本(世界ランク7位)が目標のベスト8進出をかけ、強豪のフランス(同2位)と対戦し、2-3のフルセットの末、大健闘もあと1歩及ばず敗れた。

相手は昨夏の東京オリンピックで金メダルを獲得。今夏のネーションズリーグ準々決勝でも対戦し、日本が0-3(24-26、16-25、20-25)のストレートで敗れている。そのネーションズリーグも制覇し、勢いに乗るフランスを破ることができなかった。

大接戦を制したフランスは準々決勝でイタリアと対戦する。

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フィリップ・ブラン監督 本当に悲しい。そのひと言に尽きる。フランスを相手にフルセット、タイブレークまで持ち込んで、ほぼ勝利を手中に収めていた。現段階でベスト8には進めなかった。これが日本の現状。今後はベスト8、優勝に向けて進んでいきたい。大きな差はなかったと思う。(31得点の)西田が頑張ってくれた。(左足首負傷から復帰した)石川はまだ完全ではなく、ステップ・バイ・ステップでじょじょに(状態が)上がってきた段階。(今後は)非常に高いレベルで、ステップアップすることが必要だ。また次へ頑張りたい。


石川祐希主将 悔しいのひと言しか出てこないです。チャンスをつかみかけて、逃してしまったことが悔しいです。(左足首を)ケガしてコンディションを合わせながら、今日はベストで臨むことができた。(今まで)僕なしで、うまくチームを作ってくれたことに感謝したい。あと1歩の差。それは、コートの中の選手が感じている。勝つしかない。勝つことだけが、僕たちをステップアップさせてくれる。試合に勝って成長するしかないというのは、この試合で感じたことです。高さ、パワーは向こう(フランス)が上回っていましたけど、ディフェンスとサーブは戦えていた。もっと安定して戦うこと。それも、どれだけ勝つ経験を積むかにかかっている。サーブは最初、感触が悪くてミスが多かった。途中から修正できましたけど、第5セット、リードしている場面でネットにかけてしまった。自分の力のなさです。サーブを確実に入れる力を身につけないといけない。1本の差、1点の差が出た試合。質の高いバレーをするためには、ミスをなくす必要がある。


西田有志 悔しい。それしかないです。(フランスには)ネーションズリーグのファイナル8(準々決勝)で、ブロックとかいろいろされた。同じことを2度繰り返すのは嫌だった。気持ちで負けないようにと思っていました。(東京五輪で)金を取ったチームと対戦できるのはうれしいこと。負けない気持ちを出すことはできた。1点の差、本当に1点の差だけだった。決定力をつけるように努力するだけです。ベスト8を目標にして、ベスト8以上の財産が残った試合。結果として出したかったが、チームとしての自信になった。ベスト16の中でも、より(内容の)濃いベスト16。また強くなって戻ってきます。


高橋藍 最後の5セット目もリードする場面があったので、いい戦いができたことは間違いないです。1点の差。勝ちきれないところがモロに出てしまった。1点を逃さないことが必要だとあらためて感じました。東京五輪ではチームに引っ張ってもらった。あの経験が自信になり、自分もチームの軸になれるように、それは監督からも求められていることなので。他の選手の調子が上がらなくても、自分が軸になれるように意識していました。(サーブでは)相手が嫌になるような、防ぐのが苦しくなることを考えた。

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世界との差は詰まったか…石川祐希、西田有志、高橋藍にバレー復権の夢を抱く



日本17-25
25-21
24-26
25-22
16-18
フランス


【日本のスタメン】

〈セッター〉

8関田誠大(28)

〈オポジット〉

1西田有志(22)

〈アウトサイドヒッター〉

12高橋藍(21)

14石川祐希(26)

〈ミドルブロッカー〉

2小野寺太志(26)

6山内晶大(28)

〈リベロ〉

20山本智大(27)


第1セット

高橋のサーブから始まる。日本にとって石川が最初の得点で1-1。序盤は1点差のまま食らいつく。

日本のタッチネットで4-6とされると、フランスは緩急をつけた攻撃。ヌカペトが落として3点差に広げられた。

石川、西田がスパイクを決めて再び1点差にするも、高橋のスパイクはブロックされ、ヌカペトの右側ぎりぎりを攻めたサービスエースで8-12。

4点差にされた時点で、日本は最初のタイムアウト。

石川が左すみへ、山内がブロックの間を攻めて何とか4点差のまま中盤へ。

関田のワンハンドトスから、西田がノールックで決めて12-16とする。ただ、フランスに連続得点を許し12-18と6点差。ここで日本は再びタイムアイト。

ここから日本は息を吹き返す。関田のバックトスから西田が緩急をつけた技ありのプレーで得点し、高橋がサービスエース、小野寺のブロックで3連続得点。

日本は15-18と3点差に迫る。

しかし、そこから粘れず。フランスに5連続得点を許し15-23。

石川のスパイク、山内のブロックで17点目を挙げるも、ここまで。

フランスの勢いを止められず、日本は第1セットを17-25で落とした。


第2セット

第1セットを失った日本が、目を覚ました。

西田の連続得点で流れを取り戻すと西田、石川、山内、山内と立て続けに決める。5-2とリードする。

高橋が得点し、西田のサーブはネットに阻まれるも、西田はその直後に再び2連続得点。9-5、10-6と4点リードをつけた。

ここからジワリと点差をつめられ、12-11と1点差になる。それでも日本は、勝ち越しは許さなかった。

集中力を切らさずにボールを拾う。西田の対角線へのスパイクはアウトの判定。日本はここでチャレンジを選択し、成功する。

16-12と再び4点差。西田、山内と決めて20-15。日本が先に20点に到達する。

21-17の場面。西田は客席まで体を投げ出してボールを拾いにいった。執念のプレー。日本の選手たちの勝利への思いが、フランスを上回った。

小野寺が決めて23点目。

高橋がサーブで崩し、石川が決める理想的な形で24-21。

最後は高橋が決めた。

25-21。

日本が東京五輪金メダルのフランスから第2セットを奪い、セットカウント1-1とした。


第3セット

白熱した展開になった。

先に得点を挙げたのは日本だ。山内がブロックポイント。3-5とされてからも、高橋が3枚ブロックの右を通して4-5。

小野寺のブロックが決まって5-5にしたかと思われたが、フランスのチャレンジが成功。石川がブロック3枚、再び石川が今度は2枚のブロックに阻まれて4-8とリードを広げられた。

西田もブロックされ、6-11となる。このまま離されるか、それとも食らいつくことができるのか-。

高橋のブロックなどでジワリと点差を縮める。10-12、12-13とついに1点差。

西田、高橋と決めてついに16-16の同点。石川のサービスエースが出て19-19。

19-21とフランスに2点をリードされた時点でタイムアウト。

サーブレシーブを返し、山内が決めて20-21。

西田の強力なサーブを、フランスが返す。粘る日本。21-23とされ、西田は悔しそうに点を仰ぐ。

ただ、このままでは終わらない。西田が相手ブロックの手をかすめながらも、力で押し込み22-23。

だが、先にセットポイントを迎えたのはフランスだ。22-24。

フランスのサーブがアウトになり23-24。

手に汗握る展開。

小野寺のサーブで崩し、石川のブロックポイントでついに24-24。

最後はフランスが連続得点。日本は粘りながらも24-26でこのセットを落とした。


第4セット

お互いに譲らない展開が続く。

日本は関田、石川、西田とこのセットの序盤に3本のサービスエース。7-4とする。

西田が決めて10-7。

フランスもここから3連続得点で10-10。

西田のレフトからのスパイクはアウトとなり10-11とフランスに勝ち越しを許す。

石川が決めて11-11。

日本は東京オリンピック金メダルのフランスに1歩も譲らない。12-12、14-14。フランスも意地を見せる。

ここから流れに乗ったのは日本だ。

西田がバックライトから決めて15点目。西田はこれがこの日24点目となる。

サーブで崩し、石川が決める。そして再び石川だ。16、17点目。石川の活躍で、日本が5連続得点。19-14とする。

先に20点目を挙げたのは日本。22-17から石川がサーブで崩す。山内のブロックポイントで23-17。

日本の集中力は切れない。

焦りが見えるのはフランスの方だ。

山内が決めて24-18。日本がセットポイントを迎える。

フランスも諦めず4連続得点で24-22。6点差から2点差に迫られた。

最後はフランスがアウト。日本が25-22で第4セットを奪い、セットカウント2-2とする。

日本が大健闘。大接戦となり、ついに試合はフルセットに入った。


第5セット

ファイナルセット。先に得点したのは日本。高橋が決めて1-0とする。その直後、日本はチャレンジ成功で2-0。再び高橋が決めて3-1、西田がバックライトから決めて4-1。

その直後、高橋のサーブはアウト。石川がブロックされ4-3。石川が決めて5点目。

フランスは高さを生かして5-5の同点とされる。

互いに譲らない展開は、このセットも続いた。東京五輪、今夏のネーションズリーグを制し“世界最強”のフランスと互角の戦い。

西田の得点で6点目。フランスが追いつき再び6-6の同点。目が離せない展開になった。

西田で8-8、再び西田で9-9となる。

高橋のスパイクはブロックされ、サーブがアウトで10-12。諦めない日本は11-12と食らいつく。

フランスはミドルから決めて11-13。

フランスのサーブアウトで12-13。

関田のサーブから西田のブロックポイント。ついに日本は13-13とした。

マッチポイントはフランス。日本13-14フランス。

後がない日本。

エースの石川が決める!

14-14。

ここでフランスがタイムアウト。

フランスの連携ミスで15-14。

石川のサーブアウトで15-15。

フランスが乱れたが、日本は拾えず。15-16。

ここで日本はタイムアウト。

西田の闘志は衰えない。強烈なスパイクを決める。16-16。

フランスの得点で16-17。最後はフランスが力で押し込む。16-18。

大接戦、最後に制したのはフランスだ。日本は大健闘も、あと1歩及ばず。

セットカウント2-3。

両チームの選手たちが抱き合って、健闘をたたえ合った。


男子日本代表登録メンバー

〈オポジット〉

1 西田有志(22=ジェイテクトSTINGS、187センチ)

16 宮浦健人(23=スタル・ニサ、190センチ)

〈ミドルブロッカー〉

2 小野寺太志(26=JTサンダーズ広島、2メートル)

6 山内晶大(28=パナソニックパンサーズ、204センチ)

23 佐藤駿一郎(22=東海大4年、205センチ)

26 村山豪(24=ジェイテクトSTINGS、192センチ)

〈アウトサイドヒッター〉

5 大塚達宣(21=早大4年、194センチ)

7 高梨健太(25=ウルフドッグス名古屋、190センチ)

12 高橋藍(20=日体大3年、188センチ)

14 石川祐希(26=パワーバレー・ミラノ、192センチ)

〈セッター〉

8 関田誠大(28=ジェイテクトSTINGS、175センチ)

9 大宅真樹(27=サントリーサンバーズ、178センチ)

〈リベロ〉

13 小川智大(26=ウルフドッグス名古屋、176センチ)

20 山本智大(27=堺ブレイザーズ、171センチ)


(※背番号、名前、年齢、所属、身長)


フィリップ・ブラン監督

【イラスト】男子バレー世界選手権代表メンバー
【イラスト】男子バレー世界選手権代表メンバー

世界選手権トーナメント表

バレーボール男子世界選手権決勝トーナメント組み合わせ
バレーボール男子世界選手権決勝トーナメント組み合わせ

日本の1次リーグB組日程と結果

☆26日 日本3-0カタール 

(25-20、25-18、25-15)

★28日 日本0-3ブラジル

(21-25、18-25、16-25)

☆30日 日本3-1キューバ

(25-18、21-25、25-15、25-19)




世界選手権

オリンピック(五輪)、ワールドカップ(W杯)とともにバレーボール3大大会の1つで4年に1度開催される。今大会はスロベニアとポーランドが共催。24カ国が6組に分かれて1次リーグを戦い、各組上位2チームと3位の中から成績上位4カ国の計16カ国が決勝トーナメントに進出。決勝は9月11日。競技方式はテクニカルタイムアウトなし、リクエストできるタイムアウトは1セット2回まで、セット間にコートチェンジを行う。日本男子の最高成績は70、74年の3位で82年は4位。98、06年は日本開催。前回大会(18年)はポーランドが大会2連覇を達成し、ブラジルが2大会連続で2位になった。