ジュニアグランプリ(GP)シリーズに初参戦した千葉百音(もね、17=宮城・東北高)が、66・37点で首位発進した。

名曲「シンドラーのリスト」をしっとりと演じた。ダブルアクセル(2回転半)、ルッツ-トーループの連続3回転、3回転ループとジャンプは全て着氷。安堵(あんど)した表情で「練習では少し調子が上がりきっていなかった。本番で出し切れたのが、ホッとしています。満足の点数です」と振り返った。

世界に飛び出し、喜びと悔しさを味わった。今季、ジュニアGPシリーズデビュー。初戦のポーランド大会で2位に食い込み、最終戦のイタリア大会に臨んだ。シリーズ2戦上位6人がジュニアGPファイナル(12月、イタリア・トリノ)に進出する。イタリア大会ではSP3位と好発進も、フリーは4位にとどまり、総合4位と順位を落とし、ファイナル進出争いは7番手に。あと1歩届かなかった。

「これからのスケート人生で、すごくいい経験も、悔しい経験もしました。濃縮された経験。ファイナルにあと1歩届かなかったのは、自分の今までの努力不足と思い知らされました。イタリア大会のフリーは、みんなが同じように足が震えるぐらい緊張して、ノーミスができるかできないかは、日々の積み重ねた結果。今の自分の実力を受け止めて、努力を続けるしかないと思います」

イタリア大会後は調子を落として苦しんだ。それでもトレーナーの「ジャンプのフォーム、軸は大きく乱れていないよ。あとは自分を信じて待っていれば、必ず戻るよ」という言葉に励まされ、練習は怠らなかった。毎日の練習が、この日の首位発進につながった。

中1日で迎える6日のフリー。全日本ジュニア選手権(25~27日、茨城・山新スイミングアリーナ)のシード権を持つが、慢心はない。

「私はトリプル(3回転)ジャンプしか入れていない。最低限、トリプルはプログラムの中でノーミスをしたい。ピーキングは全日本ジュニアに合わせているけれど、東日本も抜かりなく、ノーミスでやりたいと思っています」

全日本ジュニア選手権、その先には全日本選手権(12月、大阪)と国内の大舞台が続く。世界の戦いからの教訓を、生かすチャンスはやってくる。【松本航】