ショートプログラム(SP)5位のイリア・マリニン(18=米国)が、世界で自身だけ跳べるクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)を、初の大舞台でも成功させた。

冒頭に挑み、別次元の高い跳躍から完璧に着氷。出来栄え点(GOE)3・04の加点を稼ぐ質で決めて見せた。

前日のSPはトリプルアクセル(3回転半)で失敗するほど苦しんでいたが、中1日あったフリーではきっちり調整。その後も4回転のフリップ、サルコー、トーループ2本を全て着氷するなど4種5本をそろえた。

フリーの得点は、優勝した宇野昌磨(24=トヨタ自動車)に次ぐ2位の191・84点。10月のGPシリーズ第1戦スケートアメリカで自身が出した今季世界最高(当時)の194・29点には及ばなかったものの、総合3位に順位を上げてシニア1年目ながら銅メダルを獲得した。

「ミスはあったけれど、そこから学んで成長していきたい。メダルを取れたことは光栄です」

98年のGPファイナル女子で優勝している母タチアナ・マリニナさんとの親子2代制覇は持ち越しとなったが、技術点114・88点は全体トップ。この日は安定感重視で回避した4回転ルッツも操るだけに、課題の演技構成点が伸びれば手がつけられなくなる。

SNSのアカウント名を「quadg0d(4回転の神)」とするだけの才能を示し、シーズン前半の世界一決定戦で強烈なインパクトを残した。【木下淳】