昨夏の東京五輪で女子1500メートル8位入賞の田中希実(23=豊田自動織機)が15日、日本陸上競技連盟(日本陸連)主催の「アスレティックス・アワード2022」に登壇し、女子5000メートルで日本グランプリ(GP)シリーズのチャンピオンを受賞した。1年を振り返り、泰然とした口調で「苦難というか、苦しんだ年だった」と総括した。

ピンク色のドレス姿でステージに上がると、冒頭で「自分としては納得のいかない成績が続いていた」と吐露した。今年は国内外のレースを転戦し、7月の世界選手権(世界陸上)では、日本人初の個人3種目にトライ。800メートル、1500メートル、5000メートルに出場し、10日間で5レースに臨んだが、いずれも上位に食い込むことは出来なかった。

悔恨が胸に残る一方で、挑み続けたことには胸を張った。「1つ1つのレースには、一切妥協せずに取り組めた自負はある」。その結果として、日本GPシリーズのチャンピオンを手にした。「本当だったら何も残らなかった中、挑戦したことで形になった」と静かにうなずいた。

24年のパリ五輪開幕まで、600日を切った。「世界陸上で結果を残していくことが、再来年につながる」。23年8月の世界選手権(ハンガリー・ブダペスト)と、その先へ。田中だけの求道は続く。