日本代表(世界ランク10位)がサモア(同12位)との前哨戦に敗れた。

9月開幕のW杯フランス大会1次リーグ同組の相手に22-24で敗戦。前半30分にNO8リーチ・マイケル(34=東芝ブレイブルーパス東京)が危険なタックルで一発退場となり、数的不利に加えてノックオンなど個々のミスも重なった。

強化試合を含めて23年の実戦はここまで白星なしの3連敗。次戦は29日に大阪・花園ラグビー場でトンガ(同15位)と対戦する。

8月15日のW杯メンバー33人発表まで、残されたアピールの場は2試合となった。

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主審が示すレッドカードに、リーチはぼうぜんとした。

10-3の前半30分、味方に呼応して2人目でタックル。その肩が相手頭部に当たった。近年、安全性を第一に厳しく見られるプレー。ビデオ判定で場内に映像が流れ「これはレッドだ…」と察した。

人生初の一発退場に「真っ白だった。顔に出さずにポジティブにいるべきだった」と反省するほど想定外だった。

1人少ない数的不利からも、立て直しかけた。

10-10で迎えた後半はSO李承信(コベルコ神戸スティーラーズ)が2PGを成功。だが6点をリードした1分後に、FB山中亮平(コベルコ神戸スティーラーズ)のキックをチャージされ、トライとゴールで逆転された。

2点を追う37分には、WTB松島幸太朗(東京サントリーサンゴリアス)の前進で流れが生まれかけたところでSH斎藤直人(東京サントリーサンゴリアス)がノックオン。フランカー姫野和樹(トヨタヴェルブリッツ)が「ずっと(ボールが)ぬれていた」と明かすなどFW、BKの落球続きで自滅した。

ジェイミー・ジョセフ・ヘッドコーチは「(チームを)引っ張る選手がミスを犯した。彼らの中で責任を持ってもらいたい」と自覚を求めた。

W杯メンバー発表まで残り2試合。今年初出場の山中は「簡単なミスの修正。それをやって自分たちのやりたいプランができる」と言った。

キックをチャージされた場面は、ラック際の味方FWの立ち位置を整えれば、自身への圧を弱められたと反省。まずは意思疎通でミスにつながる“芽”をつむことが求められる。

リーチは追加で数試合出場停止を課される可能性があり「違う形でチームに貢献したい」と誓った。

次戦は29日トンガ戦。危機感を持ちながら、個の責任と向き合う1週間となる。【松本航】

○…22歳の先発SO李が1ゴール5PGの成功率100%で17点を挙げた。後半は2、7分とPG成功で流れをもたらし「自分の役割としてポジティブに捉えている」と手応えをにじませた。前戦のオールブラックスXV戦も3ゴール2PGと失敗なし。ジョセフHCは途中出場の松田力也(埼玉パナソニックワイルドナイツ)と合わせ「2人とも(試合の)状況がなかなか難しかった」と経験値の上積みを期待した。

○…サモアは、23年初戦で日本とのW杯前哨戦を制した。ルール変更で初キャップとなった元オーストラリア代表SOリアリーファノが、3ゴール1PGと安定。チームはベストメンバーではなかったが、好機を逃さず3トライを奪った。リアリーファノは「準備の時間は限られている。タフな状況で試合をするのは大切」とし、本番に向け弾みをつけた。

【ラグビー】W杯前哨戦日本-サモア/ライブ速報