桐蔭学園(神奈川)が前年度覇者の東福岡との接戦を制し、春冬2冠を達成した。“東西横綱対決”と評された一戦、前半はWTB田中健想(3年)のトライなどでリード。しかし、後半に3点差まで追い上げられ、最後は自陣ゴール前まで攻め込まれたが、守り切って4度目の日本一に輝いた。前回大会で花園に来られなかった悔しさをバネに、今季15人制で全勝の強さを発揮し、頂点に立った。

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ラストプレーまで目が離せない激戦だった。桐蔭学園が前半はトライとPGで8点リードしたが、後半3点差に迫られ、終盤は東福岡に押し込まれた。「冷静に!」と声をかけ合いながら必死に体を張り、粘り強く守り続けた。ノーサイドのホイッスルの瞬間、選手は跳びはねて喜びを爆発させ、藤原監督は「感慨深い。久しぶりに味わった感動」とスタッフと握手をかわした。

3大会ぶり4度目の大会制覇には、悔しさが原動力になった。過去3度花園で頂点に立ちながら、前回は県大会決勝で東海大相模に敗れた。指揮官の耳には「桐蔭はこのまま落ちていく」という関係者の会話も入ってきた。選手は敗戦当日から練習を開始し、直後のミーティングでは意見をかわして再スタートを切った。

花園出場が途絶えたことで、次年度につながる経験の蓄積がなくなったことも痛手だった。そのため22年12月26日から28日まで関西遠征を敢行。東海大大阪仰星や京都工学院と練習試合をするだけでなく、出場できなかった花園にも足を運んだ。花園初心者として、トイレの位置から確認した。SO萩井は「なんでここ(スタンド)にいるのかと思った」。悔しさをかみしめながら、1年後への思いを強めた。

藤原監督が「しんどいことも笑顔で乗り越えられる」と評す選手たちは、春の選抜大会で優勝。夏には少しゆるみも出たが、菅平合宿での東福岡戦の夜に「このままでいいのか」と引き締め直し、再び花園切符をつかんだ。たどり着いた聖地では最後まで強さを見せつけた。

屈辱の敗戦からはい上がっての2冠に中森は「あの負けがなかったら優勝できなかったと、はっきり言える」。試合後に4度宙を舞った指揮官は「知らないと思ってたけど、胴上げのDNAが残っていましたね」。一度は途切れかけた歴史を、たくましさを増した選手たちが再びつないでみせた。【永田淳】

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