柔道のパリ五輪(オリンピック)日本代表(男女14階級)で唯一、内定者が決まらず越年している男子100キロ級の2候補、世界ジュニア王者の18歳新井道大(どうた、東海大)と、東京五輪金メダルのウルフ・アロン(27=パーク24)が26日までに取材に応じた。

重要な選考材料となるグランドスラム(GS)パリ大会(2月2~4日)に向けて出国。この大会で成績上位かつ表彰台に立てば、最後1枚のパリ切符をつかむ可能性が高い。

日本勢4番手から、昨年12月のGS東京大会2位で一気に1番手へ躍り出た新井は「相変わらず先輩や同級生にボコボコにされて。投げられまくってます。ふふ」と笑いながら「GS東京で反省が出たので、対策も結構してます。一番は自分の柔道を出すこと」と意欲を見せた。

10月の世界ジュニア選手権をオール一本勝ちで制した大学1年生。29日に19歳の誕生日を迎えるあどけなさだが、GS東京では2回戦で世界王者のアダミアン(AIN=個人の中立選手)を大外刈りで下すなど、一本勝ちの連続で沸かせる破竹の快進撃を演じた。ところが、大注目の決勝では開始早々に一本負け。「ああいう投げられ方をしてしまって、外国人に慣れてなさが出てしまったね、と鈴木桂治監督からも言われました。一番は経験不足。けんか四つの組み手や、自分より手が長く身長も高く力が強い相手は、海外だと、ざらにいるので。密着の研究もしています」と力を込めた。

一方のウルフは準々決勝で敗れ、回った敗者復活戦でも、新井に敗れたオランダ選手に一本負けして7位に沈んでいた。しかし、優勝者が出なかったことで命拾い。東京五輪の後は国際大会で優勝はないが「年末年始も108キロくらいをキープして、試合に近い体重で対策も練習もできた。仕上がりとしては、今までの中で1番いい」と自信を見せた。

代表選考の最終局面は、東海大の後輩との一騎打ちになった。今も同じ拠点で練習しており「身近に代表を争うライバルがいることは大きい。ただ、大学の後輩には負けられない。結果として自分が新井の上にいく。2カ月弱、その準備ができた。最終的に自分が代表になれれば。ここで勝つか負けるかでパリが決まってくる。これまでの柔道人生すべてを懸けた戦い」と闘志をみなぎらせていた。