男子ウエルター級で増田龍杜(りゅうと、開志学園3年=新潟)が初優勝した。決勝は三世田颯(広島・崇徳3年)に2回1分4秒でRSC勝ち。1回、2回と右ストレートでダウンを奪って圧勝した。昨年4月、帝京長岡から開志学園に転学してボクシングを始め、キャリアはまだ1年に満たない。全国大会も今回が初出場。成長途上のハードパンチャーが目標の3冠(全国選抜、全国総体、国体)獲得に向け、最初のタイトルを手にした。

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レフェリーが両手を振って試合を止めた。ニュートラルコーナーでその様子を確認した増田は両手のグローブをたたき合わせ、表情を引き締めた。

1回には左フックからの右ストレートで最初のダウンを奪う。「この勢いで一気に行こう」と、2回には三世田の顔面を右ストレートで捉える。2度目のダウンを奪取。イメージ通りのフィニッシュで「正直、びっくりしました」。全国初出場初優勝に誰よりも本人がおどろいた。

「試合をしながら成長した。本当に伸びしろしかない」。96年アトランタ五輪代表の仁多見史隆監督(49)もうなるしかない。初戦の2回戦(27日)は「緊張した」(増田)と苦しみながら3-2の判定勝ち。それが28日の準決勝は4-1の判定と危なげなかった。そして決勝。「相手の出方を見て行けるところで行く」。冷静に流れを見極め、勝負どころを押さえた。

準決勝後、開志学園OBで21年の選抜大会ウエルター級で優勝した兄祐士(日大3年)からLINEが来た。「もっと全力を出して頑張れ」。激励に兄弟での全国制覇で応えた。そして「バスケットの仲間たちも喜んでくれると思う」。吉田中でバスケットボールを始め、21年のウインター杯準優勝校、帝京長岡に進学した。だが、通学時間の関係で開志学園に転学。兄の後を追ってボクシングを始めた。バスケで養った下半身の強さと俊敏性がボクシングでも生きた。

快挙にも慢心はない。「あと2つ(全国総体、国体)ある。これからも練習するだけ」。喜ぶ間もなく、次に視線を向けた。【斎藤慎一郎】

◆増田龍杜(ますだ・りゅうと)2006年(平18)11月19日生まれ、燕市出身。吉田小2年からキックボクシングを始め、吉田中ではバスケットボール部でポジションはPG。帝京長岡に進学し、バスケットボール部に入部。23年4月に開志学園に転学。24年1月の全国高校選抜大会県予選で初優勝した。171センチ。