ノルディックスキー・ジャンプ男子の小林陵侑(27=チームROY)が29日、都内で会見し、W杯個人総合2位だった今季を振り返った。シーズン終盤は、4季ぶりのW杯転戦となった51歳の葛西紀明とともに試合に出場。「すごさを再認識できた」とレジェンドから学びを得た。

「ノリさん」と呼ぶ24歳年上の大先輩は、衰え知らずだった。試合前に精度が上がらなくても、本番では照準を合わせてきた。30位以内に与えられるW杯ポイントを5季ぶりに獲得した時も、驚きはなかった。「(葛西は)パフォーマンスをこのW杯のレベルに合わせることができる。良い刺激をもらった」と心が高ぶった。

だからこそ、結果で成長を示したいという思いがある。今季は2度の優勝を収めたが、2位が10度。「ノリさんがいるからというわけではないですが…」。そう前置きし、一呼吸置いて続けた。「たくさん優勝を見せたい」。シンプルな言葉に思いを込めた。

先導役としての自覚もある。今季は8年間所属した土屋ホームを退社し、プロに転向。ヤンネ・バータイネン・コーチのもと、高梨沙羅、中村直幹と合同トレーニングにも励んだ。「僕は表彰台に立てているからニュースになるけど、それぞれが結果を出そうと奮闘している。ジャンプ界を盛り上げていきたい」と燃えている。

その先に見据えるのは、ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪。前回の北京大会ではノーマルヒルで金、ラージヒルで銀メダルを獲得したが、ミラノへは結果だけに執着するつもりはない。

「メダルも大事だが、ビッグジャンプで衝撃を与えたい」

見る者を奮い立たせるようなジャンプを追い求めていく。【藤塚大輔】