日本代表SOの田村優(30=キヤノン)が悔しさをあらわにした。準々決勝敗退が決まった瞬間、ベンチで見守った背番号10は夜空を見上げて涙した。「このチームが大好き。負けたことよりもW杯が終わった悔しさがある。過去最強で最高のチームだった」。

前半から相手裏へのキックパスなどで攻撃の起点となった。何度も世界屈指の巨漢FWの激しいタックルを受け、同25分過ぎに左脇腹付近を痛めた。ハーフタイムに注射を2本打ち、足を引きずりながら右足でボールを蹴り続けた。

自国開催の重圧は想像以上だった。開幕ロシア戦の後半23分に45メートルPGを決めた。それまで問題ないキックを2本外し、リーチ主将から「狙え!」と命じられた。「リーチが僕に勇気を与えてくれた」。このPGを機に復調し、W杯8強に貢献した。全5試合で51得点の暫定得点王となったが、チームの勝利が一番で個人記録には興味ない。クールな司令塔は、最後まで「ONE TEAM」だった。